遠藤航&伊藤洋輝、低迷シュツットガルトに光明 残留争いへの“ポジティブな材料”とは?
伊藤からどのようなタイミングでパスが送られるか
そして伊藤からの縦パスは相変わらずリズムカルだ。シンプルに裏スペースに蹴り込んだり、ハーフスペースに仲間に当てたり、ワイドに開くソサに丁寧に預けたり。ボールをもってパスを出すまでの判断スピードは間違いなく上がっている。だから攻撃のリズムも作りやすい。
チームとしては得点源として2メートルの長身FWカライジッチをどのように生かすのか、ソサがどこからどのようにクロスを放り込めるか、いい状況にいるソサに伊藤からどのようなタイミングでパスが送られるかに注目が集まる。
マテラッツォ監督は「ピッチには11人の選手がいる。それぞれの選手がそれぞれの役割を100%理解して、パフォーマンスを発揮しないと、長所を生かすこともできない」と説明したうえで、特定の選手に依存するのは危険というメッセージを送っている。それは大切なことだが、だからといってこの左サイドからの強力なホットラインが武器になるのは間違いない。
ここからは争いを争うライバルとの直接対決も多い。取り戻した自信を胸に、シュツットガルトは駆け抜けることができるだろうか。遠藤と伊藤の活躍に期待が集まる。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。