J1で開幕3戦先発の黄金ルーキーら期待の逸材がズラリ パリ五輪世代の注目選手10人を厳選
【識者コラム】合宿メンバーを中心にパリ五輪世代の期待のJリーガー10人に注目
2024年のパリ五輪を目指すU-21日本代表が活動をスタートした。鹿島アントラーズでアジアを制した経験を持つ大岩剛監督は「パリ経由ではなく、A代表としてパリ五輪へ」を明確なコンセプトに掲げる。
A代表のアジア最終予選とほぼ同じ時期に行われるU-23ドバイカップが当面の目標となるU-21日本代表。3日間という短い合宿に参加したメンバーに、所属チームで試合に出るだけでなく、中心選手としてリーダーシップを発揮するように伝えたようだ。そうした基準で、ここから台頭してきそうなパリ五輪世代のJリーガーを今回の合宿メンバー中心にピックアップした。
なお、MF鈴木唯人(清水エスパルス)や今回は招集外だったMF荒木遼太郎(鹿島アントラーズ)など、すでにA代表の合宿を経験している選手は”殿堂入り”ということで、今回の対象からは外した。もちろん、ここから所属クラブでさらに結果を出すことに加えて、選手としてのパーソナリティーを高め、フルメンバーのA代表に食い込んでいくことを期待している。
<合宿メンバー>
■大嶽拓馬(柏レイソル/DF)
筆者イチ押しのタレントだ。昨秋のU-20日本代表合宿でも面白い選手だと思っていたが、今回のU-21日本代表でさらに認識が強くなった。左サイドバック(SB)から高い位置のボール奪取を助け、そこから流れに応じてオーバーラップとインナーラップを使い分ける。大きくはないが、デュエルでも体の使い方がうまく、際どい奪い合いでだいたいマイボールにしてしまう。クロスでのアシストだけでなく、その1つ前の起点にもなれる後方のチャンスメーカーだ。所属クラブの柏では今季ルヴァンカップでベンチ入りしただけだが、チャンスを得れば大きなインパクトを与えるポテンシャルはある。
■半田陸(モンテディオ山形/DF)
2019年のU-17ワールドカップ(W杯)でキャプテンを務めた選手で、複数の守備的なポジションをこなすなど、MF遠藤航を彷彿とさせる。山形でも当初はウイングバックやセンターバックで起用されていたが、昨年は本人も希望した右SBで攻撃センスが開花した。「スペースを見つける力とか、スペースに走るタイミングとかはすごくよくなりましたし、スピードの変化もだいぶつけれるようになった」と成長の手応えを語る半田。トレーニングマッチでは藤尾のゴールをアシストするなどアピールしたが、「A代表に入るためには自分の今のレベルじゃ全然ダメ。J2で圧倒的にならないと」と、目標設定を高く定めている。こちらも前向きな意味で、厳しく評価して行きたい。
■藤田譲瑠チマ(横浜F・マリノス/MF)
J1でのリーグ優勝を目標に掲げる横浜FMに加入し、早くも中盤で存在感を出してきている。ボールを奪う能力が高く、いわゆる”ボックス・トゥ・ボックス”の機動力はこの世代でも1、2を争うレベルだ。そこに質を加える環境として横浜FMは最適だろう。東京五輪ではトレーニングパートナーとして、オーバーエイジも含めた選手たちの覇気を感じ取った。パリ五輪には予選があるため、そこに向けても主軸としての活躍が期待される。「選ばれたら選ばれなかった選手の分も、日本に残っている選手の分も頑張りたい。ピッチに立っている選手が戦ってオリンピックにつながる」と語る”ジョエル”の目標は当然A代表入り。「助っ人としてパリ五輪に参加したい」と語る気鋭のスーパーボランチに注目だ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。