大久保嘉人、乾貴士、家長昭博の“違い” スペインで日本人3選手と共闘の元DFが「最高」と絶賛したのは?
マジョルカでプレーする久保建英の素質に太鼓判「将来的にはビッグクラブでやれる」
――コミュニケーション、意思疎通という点で彼らはどうでしたか?
「いくつかのことは分かっていたと思う。サッカーは時に話をしなくてもジェスチャーで理解できるもの。もっとも理解していたのはタカシ・イヌイ。長くスペインにいたし、勉強しているって言っていたしね。ヨシトとアキは言葉という点で、仲間との距離が多少あったかもしれない。選手同士で冗談を言い合ったり、僕らは彼らがチームや環境に馴染むようにしていたけど、食事に行っても会話のすべてが分からないことで快適に過ごすというところまでいかなかったかもしれない」
――自身もウィガンへ移籍しイングランドでプレーしました。言葉やコミュニケーションという点で、外国人として馴染む経験はどういうものでしたか?
「イングランドへ行った時の僕の英語というのは、それまで学校でやった程度でほとんど知らなかった。当初は苦労したし、言葉が分からないなかで仲間と食事に行ったりしたけど、本気になって学ばなければならなかった。結局イングランドには2年半いたけど、3か月で基本的に自分の言いたいことやサッカーで必要なキーワードを覚えた。ただ外国人がスペイン語を学ぶというのは、英語をマスターするより難しいことだというのは確か。彼らはとてもいい選手たちだけど言葉という点で苦労していたし、多くのことを話す必要はないけどチームメイトや監督の言うことを理解するのは重要なことだ」
――今季のマジョルカをどう見ていますか?
「いいプレーをし、いい戦いをしているが、結果が伴っていなかった。最近の数試合で結果が出てファンは喜び、選手たちは自信を深めている。すべての試合に勝つことはできないけど、全体的にいいプレーをしていて、戦い方が安定している。僕から見てマジョルカはいいシーズンを送っている。冬市場で加入した2選手がチーム力を上げている。FW(ベダト・ムリキ)はいい意味でのサプライズ。味方にスペースを作りシュート力がある。セルヒオ・リコは経験のあるGKで、過去の所属チームを見るだけでいい選手だというのが分かる」
――日本人ファンにとっての注目選手、久保建英の印象は?
「いい選手だと思う。いい左足を持っていて、コントロールやいいシュートができる。ドリブルも素晴らしく、今年は前回より安定して試合に出ていて最近数試合で鍵となる働きをしている。(レンタル元の)レアル・マドリードにはたくさんのスター選手がいるが、環境に適応し、地に足をつけて成長していけば、将来的にはビッグクラブでやれる。それだけの素質を持っている」
[プロフィール]
イバン・ラミス/1984年10月25日生まれ、マジョルカ(スペイン)出身。マジョルカ下部組織所属時の2004年2月、アルバセテ戦でスペイン1部リーグ初出場。バジャドリードでのレンタル移籍後、マジョルカ、ウィガン(イングランド)、レバンテ、エイバルに所属。英プレミアリーグ、同チャンピオンシップを含め公式戦427試合に出場し、22ゴールをマークしたセンターバック。20年7月に現役引退。
(島田 徹 / Toru Shimada)
島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。