大久保嘉人、乾貴士、家長昭博の“違い” スペインで日本人3選手と共闘の元DFが「最高」と絶賛したのは?
【スペイン発インタビュー】イバン・ラミス氏が大久保、乾、家長について言及
少なくとも近年のスペインで、最も日本人選手のことをよく知る人物は他にいないだろう。イバン・ラミス氏は、出身クラブのマジョルカとエイバルで元日本代表FW大久保嘉人氏、元日本代表MF家長昭博(川崎フロンターレ)、元日本代表MF乾貴士(セレッソ大阪)の日本人3選手と共闘した経験を持つ。チームメイトとしてのそれぞれの印象やコミュニケーションの重要性について話を聞いた。(取材・文=島田徹)
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――2020年に現役引退しましたが、プロ生活16年はどういうものでしたか?
「とても満足している。プロ選手になるのはとても難しく、キャリアの中では多くの浮き沈みがあるからメンタル的に強くなければならない。トップレベルで出場のチャンスを得るのはある意味で簡単。難しいのはそのレベルを維持すること。日々成長を目指し監督や仲間にそれを示していかなければならない。もっと高いレベルの目標で戦うチームでやること、代表でプレーするのは叶わなかった。でも僕の目標は1部リーグでプレーすることで、それを何年もやれたのだから嬉しく思う」
――あなたはこれまでに3人の日本人選手のチームメイトになりました。まず、まだ下部組織選手だった頃に大久保嘉人氏に出会ったわけですが、彼について覚えていることは?
「短い距離で非常にスピードがあり、ボールキープの時にはフィジカル的にも強かった。あまりコンスタントに出場していなかったが、出場するたびに高いレベルの片鱗を覗かせていた。スペインでやれるんだっていう意識がすごくあったように思う」
――6年後はチームの主軸となり、イングランドへ移籍する前のマジョルカで、今度は家長昭博選手が加入しました。
「彼の左足のキックはとても特徴的で、パワフルだった。ただ少しヨシトと似ているところがあって、安定して試合に出るところまではいかなかった。監督のプランにハマらない部分もあった。ただ試合に出た時には得点を決めたり、質の高いプレーをしていたから、ファンはアキのことを気に入っていた」
――そしてエイバルでは乾貴士選手と一緒に戦いました。彼はどんな選手でしたか?
「より長い時間を過ごしたから、ほかの2人よりタカのことをよく知っているね。タカシは周りが言っていることのすべてを理解していたし、話す方は少し苦労していたけどその意思は示していた。僕らチームメイトは彼に冗談を言っていたし、メンディリバル監督が言っていた指示を理解していた。とてもいい選手で、僕が知っている3選手の中で最高。代表選手で彼独特のマジックを持っていた。相手ゴール前でシュートしたり、決定的なプレーをする点で苦労していたところはあるけど、彼からボールを奪うのはとても厄介なことだった」
島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。