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異色のイタリア代表ペッレは社交ダンスの元イタリア王者
ダンスで鍛えたステップが武器
サウサンプトンの遅咲きのイタリア代表FWグラツィアーノ・ペッレが社交ダンスのイタリア王者という異色のキャリアを持つことが明らかになった。英地元紙「ミラー」が「新たなサウサンプトンの英雄はイタリアの社交ダンスのチャンピオン」と特集している。
オランダ名門フェイエノールトから今夏800万ポンドの移籍金で加入したペッレはアントニオ・コンテ監督に実力を認められ、29歳にしてイタリア代表デビューを果たした。その13日の欧州選手権予選マルタ戦(1-0勝利)で決勝弾を決める活躍で、アズーリの救世主となった。
「母親は僕にダンスをしてほしくて、父親はフットボールをしてもらいたがっていた。だから、僕は両方やったんだ。母親は社交ダンスの教師で僕も音楽が大好きで、すごくダンスは楽しみだった。でも、ダンスのために(フットボールの)トレーニングを怠ったことはない」
DF吉田麻也と今季から同僚になったペッレはこう語った。母親のドリアーナさんはかなり厳しい指導者だったようだ。
「母のクラスでは姉とパートナーを組まされた。すごくピチピチのスーツで正装したよ。母はすごく成長したとほめてくれた。ある時点では社交ダンスのプロかフットボール選手になるか選択を迫られんだ。そこまで難しい選択ではなかったけれど」
絶好調のストライカーは社交ダンスかジョカトーレ(イタリア語でサッカー選手)か、という人生の選択に直面したという。ドリアーナさんは「フットボールの練習後、車内で着替えるようになったわね。11歳の時には姉のファビアーナとラテンダンス部門でイタリアチャンピオンになったのよ」と明かす。
ダンス仕込みの細かいステップはペッレの武器になっているという。ユース時代に育ったレッチェのロベルト・リッゾコーチは「彼は巨体だけれど、コーディネーション能力が高かった。社交ダンサーとして培ったものだろうね。ダンス界でチャンピオンとなったことは彼の財産だ。彼は動きが柔なく、柔軟性が高く、狭い局面でも機敏に動ける。テクニックは生来高かった。ボックス内での引き出しは無限だ。両足も使えるし、サイズもある。一番重要なクオリティは空中戦だと思う」と証言している。
「僕は遅咲きだけど、29歳で代表に入ることができて幸せだ。人には様々な道程があるけれど、僕はここにこれて嬉しいよ」
ダンスでも一度、頂点に君臨し、フットボーラーとしてもイタリア代表にまで上り詰めた。ジョカトーレとしてピッチ立つペッレは今、充実のシーズンを送っている。
【了】
サッカーマガジンゾーンウェブ編集部●文 text by Soccer Magazine ZONE web