【J1全クラブ最新布陣】リカルド体制2年目の浦和、優勝へ充実戦力 C大阪の注目は“ブレイク”アタッカー、京都は新FWが鍵

昨季12位のC大阪、新戦力の出来次第では躍進の可能性も

■セレッソ大阪/昨季成績
J1リーグ:12位(勝ち点48/13勝9分16敗)
ルヴァン杯:準優勝
天皇杯:ベスト4

【今オフ補強動向】
 FW大久保嘉人が現役引退、MF坂本達裕(→オーステンデ)とDF瀬古歩夢(→グラスホッパー)が欧州移籍など、複数の主力が抜けた。しかしながら、その穴を埋める以上のパフォーマンスが期待できる選手たちが加入しており、彼らのフィット次第では昨年の12位を上回る躍進もあるかもしれない。

 J2でブレイクしたMF上門知樹(←ファジアーノ岡山)は驚異的なシュート力を誇るアタッカーだ。もともと2列目の選手だったが、昨年は2トップで得点力を発揮し、飛び出しからのフィニッシュなども身に付けた。アビスパ福岡から復帰したFWブルーノ・メンデスとの共演にも期待が懸かる。

 攻撃的な右サイドバックのDF毎熊晟矢(←V・ファーレン長崎)もブレイクが期待される選手だ。もともと本職はFWで、タイミングよく攻め上がれば第3のストライカーとして相手の脅威になる。左サイドバックには正確なクロスを誇るDF山中亮輔(←浦和レッズ)が加わった。長らくDF丸橋祐介とDF松田陸が左右の主力を担ってきたが、競争の活性化はチーム力アップにつながるはずだ。

 目下の懸案事項はセンターバック。スイスのグラスホッパーに移籍した瀬古に代わり、2年半ぶりに復帰したDF山下達也(←柏レイソル)が開幕直前に左足を負傷して、序盤戦の欠場が濃厚に。かつて在籍した4年間で3度のJリーグ・優秀選手賞に輝いたDFマテイ・ヨニッチ(←上海申花)の復帰が発表されており、救世主的な活躍が期待される。

■主な獲得選手
【Pos./選手名/前所属】
MF 上門知樹 ファジアーノ岡山
MF 鈴木徳真 徳島ヴォルティス
DF 山中亮輔 浦和レッズ
DF 山下達也 柏レイソル
GK 清水圭介 京都サンガF.C.

■主な放出選手
【Pos./選手名/移籍先】
FW 豊川雄太 京都サンガF.C.
MF 藤田直之 サガン鳥栖
MF 坂元達裕 オーステンデ(ベルギー)※レンタル
MF 西川 潤 サガン鳥栖※レンタル
DF 瀬古歩夢 グラスホッパー(スイス)

【22年シーズン陣容の注目ポイント】
 ミゲル・アンヘル・ロティーナ体制で築いた戦術的な土台は前任のレヴィー・クルピ体制で、皆無に等しくった。両指揮官をコーチとして支えた小菊昭雄監督はディフェンスの組織を再整備しながら、攻撃面ではある程度、選手たちのアイデアを重視するスタイルを進めている。

 課題になるのがMF清武弘嗣とMF乾貴士の共存だ。2人ともクリエイティブなアタッカーだが、少しキャラクターがかぶるところもあるだけに、相反しないようにコンビネーションを作っていく必要がある。ただ、展開力のあるMF原川力と“ボックス・トゥ・ボックス”の動きに優れるMF奥埜博亮のバランスは非常に良い。2人が小菊監督の守備的タスクをこなしながら、清武や乾をうまくサポートできれば、ベースが崩れることはないだろう。

 そこにFW加藤陸次樹、FWアダム・タガート、FWブルーノ・メンデス、FW山田寛人、上門と個性的なFW陣がいかに決定力をもたらせるか。攻撃面はチームとしての型というよりは組み合わせに応じたユニットが武器になる。特に2トップはどの組み合わせがファーストチョイスになるにしても、複数のオプションを持つことで、相手側に読まれにくくなりそうだ。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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