ホームの冷めた空気を一掃 マジョルカ久保、劇的決勝OG誘発が縮めたピッチとスタンドの“心の距離”
順調なら今季終了後に着工、2024年に終了
そのほか、バックスタンド側にも6656人分をカバーする屋根が設置され、太陽光発電のLEDライト、椅子全席のリニューアル、試合日以外の活動を想定してスタンド下のイベントスペース確保といった改善も盛り込まれている。
この施設は1999年ユニバーシアードのために建設されたもので、パルマ・デ・マジョルカ市が所有している。現在は各政党からの賛同を得るべく根回しをしているところだ。費用はおよそ2000万ユーロ(現在のレートで26億3000約万円)で、順調に行けば今季終了後の6月に工事着工、2024年中に終了することになっている。
マジョルカのホームスタジアムについてはこれまで何度も議論がなされており、「(1)以前のホーム(現在は空き地)に新スタジアムを作って戻る」「(2)現スタジアムのピッチを90度回転させる」などの計画が上がっては頓挫した経緯がある。これまでに簡易スタンドの設置などマイナーチェンジはいくつかあるものの、本格的なモデルチェンジはなされていないだけに、今回の計画が具体化するか今後の動向を見守る必要がある。
もっとも久保にとっては2年後の“新スタジアム”完成のことを考えるよりは、次の試合、今季残り試合に目を向けるというのが現実的な目標だろう。
さらなる得点を決め、ゴールパフォーマンスの機会を増やすことでホームの冷めた空気を一掃することができるか――。そうなった時、久保は本当の意味でシーズン当初から期待されていたチームの顔になり、スタジアムの盛り上げに貢献することになる。
(島田 徹 / Toru Shimada)
島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。