「このままではダメ」 長谷川唯が考える世界との差…なでしこジャパンに足りない「個人としての戦術理解」
なでしこジャパンの課題は打開力と決定力「日本の特徴もしっかりと出せるように」
――今回は準備期間が決して長くなかったことも大きかったかと思いますが、なでしこは、本来、アジアを優勝できるチームです。コンスタントに優勝できる、勝ち続けられるようになるためには、何が必要だと感じていますか。
「準備期間が短かったことはあると思いますが、それは言い訳になりません。今まで監督が代わる前から代表にいた選手もいれば、U-20日本代表の頃から一緒にやっている選手も多くいました。そこのあと少しの融合が必要だと思います。その意味では、もっと完成度の高いチームを見せることができたのではないかと感じています。
攻撃の部分では、若い選手たちには特徴のある選手が多いので、自分や中堅よりも上の選手たちが、その選手たちを最大限に生かせるようにしていけば、強みになると思います。そこはいい意味で気を遣いながら、特徴のある選手たちが、自分の長所を出しやすい環境を作れたらいいなと思っています」
――過去2回優勝していることに加え、オーストラリアが準々決勝で負けたこと、中国の試合を見ても、日本の優勝は固いと思いました。それだけにこの結果は見ているほうも悔しかったですが、チーム内ではベスト4で終わった時は、どういうテンションだったのでしょう。
「連覇していることが、そこまでプレッシャーになってないと言いましたが、自分自身も前回大会は圧倒して勝ったというより、ギリギリの戦いを勝って優勝できた形だったと思っています。だからこそ、前回大会に出た選手たちのなかでは、しっかり内容を含めて優勝したい気持ちがありました。結果として、もちろん負けたことは、本当に残念でしたし、『仕方がない』と言う人は誰もいませんでした。『なんで勝てなかったんだろう』という雰囲気、気持ちが大きかったと思います」
――優勝を逃した一方で、女子W杯の出場権を獲ることはできました。その女子W杯で世界一を目指すために、高めないといけない今のなでしこジャパンの課題というのは、チームと個人でどのように感じていますか。
「まず個人のところでは、一人で打開するところは、まだまだ足りないなと。これは、いつも大会ごとに思うことですし、これに満足することはないと思うので、ここからもずっと言い続けると思います。最後の1点を取るところ、チャンスを作るところは、1つ違いを見せないといけないと個人的には思っています。点を取る選手が1人いれば、チームは勝てると思いますし、強いチームを見ると、『エース』と言うか、大事なところで点を取ってくれる選手が一人はいます。そういう選手になることも1つですし、本当に決定的な最後に決めるだけというチャンスを自分が作ることも、大事かなと思っています。
チームとしては、全体的に年齢も下の選手が増えてきていて、(アンダーカテゴリーのW杯を優勝して)世界を獲っている選手たちが多いのですが、なかなかそのままの感覚でいると難しいかなと自分自身は思っています。アンダー世代とA代表では、世界の選手たちが全然違うものがあるので、このままではダメだなとアジアでさえ、強く感じた大会でした。個人のレベルアップもそうですが、守備の組織的なところは、日本の特徴でもあるので、もっと完璧に、長所であるところをもっとしっかり出せるように、組織としてしっかりやらないといけないと感じています」