「槙野智章」ってどんな人? 神戸ファンへ贈る必読“説明書”――Jリーグ屈指の強さ&絶大な発信力と神対応
【浦和番記者コラム】攻撃力に加え、守備での対人マッチアップ力は特筆に値
元日本代表DF槙野智章は昨季限りで浦和レッズを契約満了により退団し、今季からヴィッセル神戸でプレーする。最終ラインで対人プレーに強烈な強さを発揮する一方で、周囲を巻き込んでいくパーソナリティーを持ち、ピッチ外での活躍も期待される。
槙野は2006年にサンフレッチェ広島の下部組織からトップ昇格し、10年限りで退団してドイツのケルンへ移籍。2年間プレーすると、12年から広島時代に指導を受けたペトロヴィッチ監督が就任した浦和でプレー。10シーズンにわたって最終ラインを支え、昨季限りで契約満了により退団して今季から神戸でプレーする。
デビュー当初から「DFW」(DF+FW)と自ら称したように、攻撃力のあるDFという部分がアピールポイントになってきた。特にペトロヴィッチ監督の攻撃的な戦術のなかでは、敵陣に何度も入り込んでボールに触り、ドリブル突破やミドルシュートも仕掛けていく。パスの出し入れや持ち運ぶドリブルで最終ラインからビルドアップの展開を作る攻撃性というよりも、ゴールに直結する場面に絡んでくる強みを持つ。それはセットプレーの場面でも発揮され、横からのボールに合わせるプレーだけでなく、こぼれ球の反応や二次攻撃でのポジション取りといったゴールへの嗅覚にはDF離れしたものを持つ。
また、守備面で特筆されるのは対人マッチアップでの強さにある。特にAFCチャンピオンズリーグ(ACL)では上海上港のブラジル代表FWフッキ(ともに当時)を丁々発止のやり合いの末に封じ込め、ガンバ大阪との対戦ではペトロヴィッチ監督に「パトリックを抑えられる日本人はマキしかいない」と発破をかけられて奮起したこともある。マーカーがハッキリしている時の槙野の強さは日本人DFの中ではかなりのものだ。
一方で、4バックなどゾーンで守る際の対応が課題と指摘されることの多かったキャリアだが、近年の浦和ではそうした守備体系を導入する監督が続いた。20年には大槻毅監督の下でシーズン開幕からのレギュラー落ちを味わったが、プレースタイルを対応させながらその座を奪回。そうした、新しいものへ意欲的に対応していく力を持っている。