山中亮輔が語るC大阪移籍の舞台裏 “人生を左右する”古巣・横浜FM戦へ覚悟「絶対にやらなければいけない試合がある」
古巣・横浜FMとの開幕戦への思い「人生を左右する試合で存在意義を示す」
とはいえ新たな環境でのスタートには相当なエネルギーを必要とする。「移籍加入してきた身としては“自分”を見せなければいけない」からで、あらためて特徴や性格を仲間やスタッフに伝えることで初めてチームの一員になれるのだろう。
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そしてクラブが掲げている明確な目標に向けて、どれだけ貢献できるか。勝ち点60以上、AFCチャンピオンズリーグ(ACL)出場権獲得、そしてタイトル獲得。簡単ではないが、クリアするだけのポテンシャルは十分にある。
「具体的な目標をしっかり提示してもらっているので、目指すべき場所は明確です。所属選手の能力は間違いなく高いですし、質の部分で言えば間違いなくリーグタイトルを狙うべきチーム。だからクラブとして掲げている目標を最低ラインとして、リーグ優勝を目指さなければいけません。レッズで一緒にプレーした(興梠)慎三くん(北海道コンサドーレ札幌)の『一番価値があるのはリーグ優勝』という言葉が自分の心に刺さっています。僕が高校3年生の時、2種登録としてレイソルのトップチームに帯同してリーグ優勝しました。でも試合に出場したわけではないのでまったく力になれなかったので、今度は自分がピッチに立って優勝したい」
そのためにスタートダッシュが欠かせない。2月19日の開幕戦では古巣の横浜FMと対戦する。日産スタジアムのピッチに立った時、特別な思いが胸に去来するかもしれない。
「選手としての価値を高められたのはマリノスのおかげ。あの2年間がなかったら、今の僕はいません。サッカー選手として山中亮輔を羽ばたかせてくれたチームです。本当にいい思い出しかありません。日本代表に初めて選ばれたのもマリノスのおかげですし、移籍してからも常にリスペクトの気持ちを持っています」
昨季のリーグ最多得点チームと対峙し、強力攻撃陣をストップしつつ、持ち前の攻撃性能を発揮する。強度の高い試合になるのは想像に難くないが、山中はどのように見据えているのか。
「マリノスは自分にとって特別なクラブですが、今は相手どうこうを言っている状況ではありません。まずはセレッソで自分の立ち位置を確立しなければいけないので、正直なところ相手のことを考えている余裕はありません。スタメンでも途中出場でも、与えられたチャンスで結果を残さなければ生き残っていけない世界です。この世界は、絶対にやらなければいけない試合があるんですよね。運も要素もあるけど、自分がピッチに立った試合で勝つか負けるかは大きな違い。人生を左右する試合で存在意義を示す。そうやって生き残ってきましたから」
藤井雅彦
ふじい・まさひこ/1983年生まれ、神奈川県出身。日本ジャーナリスト専門学校在学中からボランティア形式でサッカー業界に携わり、卒業後にフリーランスとして活動開始。サッカー専門新聞『EL GOLAZO』創刊号から寄稿し、ドイツW杯取材を経て2006年から横浜F・マリノス担当に。12年からはウェブマガジン『ザ・ヨコハマ・エクスプレス』(https://www.targma.jp/yokohama-ex/)の責任編集として密着取材を続けている。著書に『横浜F・マリノス 変革のトリコロール秘史』、構成に『中村俊輔式 サッカー観戦術』『サッカー・J2論/松井大輔』『ゴールへの道は自分自身で切り拓くものだ/山瀬功治』(発行はすべてワニブックス)がある。