【J1全クラブ最新布陣】長谷川新体制の名古屋、チーム力向上の可能性も “精鋭補強”の磐田はタレントの出来に注目
広島のスキッベ新監督はJリーグでは特Aランクの指導者
■サンフレッチェ広島/昨季成績
J1リーグ:11位(勝ち点49/12勝13分13敗)
ルヴァン杯:グループステージ敗退
天皇杯:2回戦敗退
【今オフ補強動向】
MF野津田岳人(←ヴァンフォーレ甲府)とMF川村拓夢(←愛媛FC)が期限付き移籍から復帰。あとは大卒ルーキーとユースからの昇格と、メンバー編成は完全なる継続路線で、ミヒャエル・スキッベ新監督の来日に備えている。
野津田はアンダーカテゴリーの代表にしばしば名を連ねた期待のタレントだったが、20代前半を通して壁に当たっていた。しかし、昨年は甲府で主力としてフルシーズンを戦い、惜しくもJ1昇格は逃したが、確かな成長を見せた。持ち前のパスセンスに攻守のバランス感覚を加えて、広島の中盤でレギュラー定着を目指す。
川村は若くして愛媛で攻撃の中心を担った。愛媛はJ3に降格してしまったが、残留争いの厳しい経験が川村を成長させた部分は大きいだろう。決定的な縦パスや中盤から飛び出してのフィニッシュに注目だ。
流通経済大から加入の2人は即戦力として期待できる。FW満田誠はドリブル突破からゴールに直結するプレーが新体制に合いそう。MF仙波大志はアカデミー出身で、長短のパスで起点になる。小柄だが豊富な運動量で経験豊富な中盤に活力をもたらしそうだ。
■主な獲得選手
【Pos./選手名/前所属】
FW 満田 誠 流通経済大
FW 棚田 遼 サンフレッチェ広島ユース
MF 仙波大志 流通経済大
MF 川村拓夢 愛媛FC
MF 野津田岳人 ヴァンフォーレ甲府
■主な放出選手
【Pos./選手名/移籍先】
MF 清水航平 未定
MF 松本大弥 ツエーゲン金沢
MF ハイネル トンベンセ(ブラジル)
DF イヨハ理ヘンリー ロアッソ熊本※レンタル
GK 増田卓也 ロアッソ熊本
【22年シーズン陣容の注目ポイント】
スキッベ新監督が来日できていないのはデメリットだ。しかし、迫井深也コーチがオンラインのミーティングを通して方向性をしっかりと選手たちに伝えているようだ。ドイツサッカーの基盤を再整備した功労者であるスキッベ監督はJリーグでは特Aランクの指導者と言える。
コンセプトは積極的にボールを運び、失っても即時奪回で鋭いカウンターにつなげる。そうしたスタイルに適したタレントが広島には揃っており、昨年からほとんどメンバーが変わっておらず、戦術実行力に関しては問題ない。
ストロングポイントとしては、やはりFWジュニオール・サントスのさらなる覚醒が期待される。個の力はJリーグ屈指だが、新しいチーム戦術に融合していけるか。ハイプレスの先陣として働きながら攻撃で持ち前の突破力を発揮できれば、2列目のMFエゼキエウやMF浅野雄也、さらにMF藤井智也とMF東俊希も高い推進力で迫力をもたらせる。
あとは経験豊富なMF青山敏弘が主力を担う中盤に、復帰の野津田や川村、さらに大卒ルーキーの仙波などがさらなる彩りをもたらせるか。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。