【J1全クラブ最新布陣】長谷川新体制の名古屋、チーム力向上の可能性も “精鋭補強”の磐田はタレントの出来に注目

磐田MF遠藤保仁、名古屋FW柿谷曜一朗、広島MF青山敏弘【写真:高橋 学 & 佐藤彰洋 & Getty Images】
磐田MF遠藤保仁、名古屋FW柿谷曜一朗、広島MF青山敏弘【写真:高橋 学 & 佐藤彰洋 & Getty Images】

【識者コラム|Part5】名古屋、広島、磐田の新シーズン補強動向&最新予想布陣を紹介

 J1の各クラブは、2022年シーズンに向けて新たな陣容でスタートを切る。このオフを経て、昨季からどう生まれ変わったのか。補強動向を踏まえながら、Part5では名古屋グランパス、サンフレッチェ広島、ジュビロ磐田の新シーズン予想陣容を紹介する。

■名古屋グランパス/昨季成績
J1リーグ:5位(勝ち点66/19勝9分10敗)
ACL:ベスト8
ルヴァン杯:優勝
天皇杯:ベスト8

【今オフ補強動向】
 かなり堅実な補強を行った印象だ。チームの3分の1が入れ替わる形で、新陳代謝としては理想的だが、オランダのユトレヒトに移籍したFW前田直輝をはじめ主力・準主力の選手たちが大半であるため、代わりに入る選手には早期のフィットが求められる。

 特にMF米本拓司が期限付きで湘南ベルマーレに去ったボランチはMFレオ・シルバ(←鹿島アントラーズ)の序盤戦からの活躍に期待が懸かる。DFキム・ミンテ(→鹿島アントラーズ)とDF木本恭生(→FC東京)が揃って抜けたセンターバックは、DFチアゴ(←セレッソ大阪)とDF河面旺成(←大宮アルディージャ)が主力候補だ。長期離脱から復帰が待たれるDF丸山祐市を含めたポジション争いが活性化しそうだ。

 河面はもともと左サイドバックもこなせるので、良質なビルドアップとデュエルを武器に、主力DF吉田豊を脅かす存在になるかもしれない。またMF仙頭啓矢(←サガン鳥栖)は組み立てと局面打開の両面に優れるタレントで、重要な攻撃のピースになることは間違いない。その仙頭と鳥栖で同僚だったMF酒井宣福は力強いポストワークとフィニッシュ、前からの守備で大きく貢献するはずだろう。

 ルーキーはユースから3人が昇格。特に世代屈指のタレントとして期待されるMF甲田英將(名古屋U-18)のドリブルとスルーパスに注目だ。

■主な獲得選手
【Pos./選手名/前所属】
MF レオ・シルバ 鹿島アントラーズ
MF 酒井宣福 サガン鳥栖
MF 仙頭啓矢 サガン鳥栖
DF 河面旺成 大宮アルディージャ
DF チアゴ セレッソ大阪※レンタル

■主な放出選手
【Pos./選手名/移籍先】
FW ガブリエル・シャビエル 北海道コンサドーレ札幌
FW 前田直輝 ユトレヒト(オランダ)※レンタル
FW 山﨑凌吾 京都サンガF.C.
MF 米本拓司 湘南ベルマーレ※レンタル
DF 木本恭生 FC東京

【22年シーズン陣容の注目ポイント】
 システムは4-4-2をベースに4-2-3-1もオプションになりそう。シンプルに戦力を評価すると開幕前としては昨シーズンと同程度か。ただ、やはりハイプレスと速攻の構築を得意とする長谷川健太監督が、ベストな組み合わせを見つけていくことができれば、チーム力がグッと上がって行く可能性のあるメンバー構成だ。

 前田がいなくなったことで、やはりサイドからの突破力を前提とした戦術は取りにくくなった。代わりに仙頭という自在性の高いチャンスメイカーを加えたので、コンビネーションを織り交ぜたカウンターが武器になってきそうだ。

 前線で中心になるのはFW柿谷曜一朗。32歳になったが、高度なテクニックは健在で、2年目となる名古屋でのリーダーシップも備わってきている感がある。もちろんMFマテウスやMF相馬勇紀というサイドアタッカーは強みになるが、期待の甲田も含めた新たな攻撃陣の個性を長谷川監督がどう使い分けて行くのか。

 ボランチにはMF稲垣祥という代表クラスの軸がいるので、新加入のレオ・シルバ、攻撃的な仙頭、戦術的なタスクを幅広くこなせるMF長澤和輝などを使い分ける形になるか。最終ラインはやはり日本代表DF中谷進之介が中心。新加入のチアゴと河面、さらに若手のDF藤井陽也、DF吉田晃と候補はいるが、やはり丸山の完全復活が待たれる。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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