C大阪の戦力分析、今季の“隠し球”は? 戦力ダウン回避、未完の攻撃が花開けばJ1席巻も

完成度が高まっている守備に対し、攻撃の形作りは未完

 ボランチは、昨季の主力、原川力と奥埜博亮が健在で、徳島ヴォルティスから鈴木徳真を獲得。19年から3シーズン、中盤を支えた藤田直之(サガン鳥栖)を失った穴は小さくないが、成長著しいプロ4年目の喜田陽や、今季は「ボランチで勝負」する中島元彦と、桜のアカデミー育ちも頭角を現している。

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 ディフェンスラインを見渡すと、長年、丸橋祐介と松田陸がレギュラーを張ってきた両SBに実力者を加えた。左サイドには浦和レッズから山中亮輔、右サイドにはV・ファーレン長崎から毎熊晟矢を獲得。縦への推進力と鋭いクロスが武器の選手を迎え、近年で最も競争は激化している。

 CBは今季の始動直後にスイス1部グラスホッパーからオファーを受けた瀬古歩夢の電撃移籍こそ想定外だったが、強化部が迅速に対応。C大阪に馴染みの深い実力者を獲得間近であり、柏レイソルから山下達也が2年半ぶりに復帰。既存の西尾隆矢、進藤亮佑、鳥海晃司も含め、質・量ともに不足はない。守護神は今季もキム・ジンヒョンが健在。あと11試合で外国籍選手としてJ1最多出場を更新する彼は、C大阪のみならず、Jリーグ全体でもレジェンドの域に達しようとしている。

 多様な個性が揃った今季のC大阪。「各ポジションに同じレベルの選手を揃えた。どの選手が出てもレベルは変わらない」と梶野チーム統括部長も述べたように、選手の質は高いレベルで拮抗している。

 昨季限りで現役を引退した大久保嘉人氏に、坂元、藤田、瀬古と、縦ラインの各ポジションで昨季の主力は抜けたが、新たな実力者を迎え入れたことで、戦力ダウンは回避。ポテンシャルが高く、将来有望な選手も多数獲得したことで、全体的な質は高まった印象だ。

 基本的な戦い方としては、攻撃では高い位置でボールを奪い、手数をかけずにフィニッシュへ持ち込むことを理想としつつ、遅攻になった際は、ポジショナルプレーの要素も取り入れ、立ち位置の優位性を作りながらボールを前進させることを目指す。

 守備ではコンパクトな4-4-2で陣形を組み、11人全員での連動した組織的なプレスが基本。もっとも、プレスがかからない場合はロティーナ体制で構築したブロック守備に切り替え、状況に応じたライン設定も細かく整理されている。

 完成度が高まっている守備に対し、攻撃の形作りは未完であり、シーズンを通して磨いていく必要はあるが、昨季、途中就任でチームを立て直した小菊監督の下、熾烈な競争のなかからチーム力を高め、「攻守に全員が関わり続け、ハードワークする躍動感のあるサッカー」(小菊監督)を体現できれば、J1を席巻する魅力的なサッカーを展開することも十分に可能だろう。

■明治安田生命J1リーグ 開幕戦
2月19日(土)14:00キックオフ
横浜F・マリノス vs セレッソ大阪(日産スタジアム)
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(小田尚史/Hisashi Oda)



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