浦和ロドリゲス監督、昨季J1王者川崎を苦しめた“ボランチ1枚追加”のプレススタイル
押し込まれて苦戦したことは反省しつつも、きっちりと川崎に2-0勝利
浦和レッズは2月12日の富士フイルム・スーパーカップで川崎フロンターレと対戦し、2-0の勝利を収めた。試合中のシステム変更も駆使して昨季J1王者川崎を封じ込めたリカルド・ロドリゲス監督は、「川崎が快適にプレーできないようにすることもプランに持って入った」と、戦術家の一面を見せた。
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浦和は始動直後から沖縄県へ移動し、約3週間のトレーニングキャンプを経てこのスーパーカップに臨んだ。昨季からベースとなっている4-4-2の陣形の中、この日はボランチでのプレーが多いMF伊藤敦樹を左サイドハーフに起用し、MF柴戸海と徳島ヴォルティスから加入したMF岩尾憲を中央に起用。そして「前から行くためにボランチを1枚押し出した。出たらサイドから1枚絞る。伊藤敦樹はうまく役割を果たしてくれた」と、柔軟に前線からのプレスに出られる形を取った。
そこで圧力をかけると、前半7分にFW江坂任が先制ゴールをマークした。しかし、その後は川崎がボールを握って圧力をかけてくる時間が長くなった。左サイドバック(SB)で起用された新加入のDF馬渡和彰が相手FW家長昭博に激しく寄せ、伊藤は高い位置を取る相手右サイドバックのDF山根視来に対応。中盤と最終ラインの強度を保ちながらハーフタイムを迎えると、チームに修正を施した。
後半、浦和は伊藤を明確に3ボランチの一角に組み込み、江坂を左サイドハーフの位置に降ろした。その修正についてロドリゲス監督は「江坂がサイドでのサポートに入る場面が多くなり、はっきりさせるためというのもあった。相手のインサイドのランニングに対応するために(中央を3枚に)変更した」と話す。
そして、川崎にボールを持たれながらも決定機を作らせない時間を続けると、中央でのボール奪取からカウンターを発動させる機会が増えた。そして後半36分、その形からFW明本考浩が前線でキープし、フォローした江坂が追加点。すると新加入のDF犬飼智也を投入し、「最後の時間帯は5-4のブロックを作る形に」して逃げ切った。状況に応じて柔軟にシステムや配置を変えながら、川崎の良さをピッチ上で吸収した感があった。
もっとも、ロドリゲス監督は「よりボールを握りながらやることにチャレンジしたが、それができず、かなり深くまで侵入されてしまった。それでも危険な場面は作らせなかったとはいえ、押し込まれて苦戦してしまった。タイトルを獲れたことでの満足はあるが、改善点だ」と語るなど、目指すものは高い。
指揮官は、「ゲームプランとしてはかなり高く厳しいものを要求した。(川崎は)ハードワークもそうだし、それを強いてくるチーム。それができたと思う。川崎が快適にプレーできないようにすることもプランに持って入った」と、ゲームに勝利するために相手に応じたプランを選手に与えた。その要求に選手たちはハードワークで応え、6回目の出場にして2006年以来2回目のスーパーカップ制覇につながった。
(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)