目標は「RIZIN出場」! 42歳で格闘家転身→デビューから3連勝、元Jリーガーが歩む唯一無二のセカンドキャリア
【元プロサッカー選手の転身録】安彦考真(元水戸ほか)後編:引退直後にツテもない格闘家の道へ
世界屈指の人気スポーツであるサッカーでプロまでたどり着く人間はほんのひと握り。その弱肉強食の世界で誰もが羨む成功を手にする者もいれば、早々とスパイクを脱ぐ者もいる。サッカーに人生を懸けて戦い続けた彼らは引退後に何を思うのか。「FOOTBALL ZONE」では元プロサッカー選手たちに焦点を当て、その後の人生を追った。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小田智史)
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今回の「転身録」は、40歳にしてJリーガーとなり、41歳でJリーガー最年長デビュー記録を更新した安彦考真(44歳)だ。前編では、ブラジルでプロ契約目前まで迫りながら大怪我により25歳で現役を引退し、紆余曲折を経て世界初の「クラウドファンディングJリーガー」「年俸10円Jリーガー」として注目された現役生活を振り返った。2020年限りで引退し、セカンドキャリアに選んだのは格闘家。年末の風物詩とも言える「RIZIN」デビューを目指すなかで抱くビジョン、「職業:挑戦者」を貫く理由を聞いた。
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安彦は紆余曲折を経て40歳でJリーガーとなった2018年3月からわずか2年9か月、42歳でスパイクを脱いだ。引退後はまったく縁のなかった格闘家へ転身。格闘家以外にはほかに2つの候補があったという。それが「トライアスロン」と「登山家・冒険家」だ。
「トライアスロンは、50歳で頑張っている方もたくさんいます。40代の僕は若い部類に入るので、挑戦じゃない。比較的すぐ(候補から)消去されました。もう1つは、エベレスト登頂にチャレンジしてもいいかな、と。登山家の(故・)栗城史多さんとは生前に仲が良くて、僕がJリーガーになると言った時も爆笑して『サッカー界の冒険家だね』と応援してくれていました。『否定の壁をなくす』という彼が掲げてきたものを、僕の意思として継承しようとも考えましたが、自分の姿がイメージできず、途中で断念したら栗城さんに申し訳ないので挑戦はしませんでした」
なぜか、格闘家として「リングに立ち、右の拳を上げている絵が想像できた」という安彦。経験はもちろん、業界にツテがあったわけでもなく、周囲の目は冷ややかなものだった。
「両親には『格闘技やったことあるの?』と言われましたし、格闘技界隈やサッカー界の僕のアンチからは、『何言ってるんだ』『炎上商法だ』と叩かれました。逆に、僕をよく知っている人は『アビちゃん、やっぱりクレイジーだね』と受け止めてくれました。本当に賛否両論ですね。自分にとっての挑戦は、生き様を表現できること、自分から真逆にあるもの、経験のない過酷なこと。絞りに絞った結果、格闘家を選びましたが、やったことがないのでどれだけつらいか分からず、身体のことは度外視していました。もし、もう一度あの頃に戻るなら、格闘家は選ばないでしょうね(笑)」