【J1全クラブ最新布陣】神戸が悲願のリーグ初制覇へ“豪華陣容” 柏の前線は大幅変化、FC東京の大型ルーキー松木に出番は?

主力選手の多くが退団した柏、前線は昨季開幕時から総替え状態

■柏レイソル/昨季成績
J1リーグ:15位(勝ち点41/12勝5分21敗)
ルヴァン杯:グループリーグ敗退
天皇杯:3回戦敗退

【今オフ補強動向】
 昨夏のFW江坂任(浦和レッズ)流出に続き、今オフも主力選手が退団した。前線ではFWクリスティアーノ(→V・ファーレン長崎)、FW瀬川祐輔(→湘南ベルマーレ)が抜け、昨季開幕時から総替えに近い。

 それでも何とか残留を勝ち取った昨季終盤戦のメンバーを基準に考えれば、MFマテウス・サヴィオをはじめFW武藤雄樹、生え抜きのFW細谷真大、怪我から復帰したMF戸嶋祥郎などが残っている。そこに実績十分のFWドウグラス(←ヴィッセル神戸)が万全の状態で加われば、相手ディフェンスに脅威を与えられる。

 中盤のキーマンとして加わったMF小屋松知哉(←サガン鳥栖)は、鋭い仕掛けはもちろん、連係プレーでも違いを生める存在なだけに、早期フィットできるかがポイントとなる。期待したいのは大卒ルーキーのFW森海渡(←筑波大)だ。大学卒業を待たずに正式加入したアカデミー育ちのストライカーは、1年目でゴール量産のポテンシャルを秘める。ユースから昇格したFW升掛友護と長身FW真家英嵩も5人交代制の恩恵を生かして、早い段階からリーグ戦に絡んでいきたい。

 ボランチは主力のMFドッジ、MF三原雅俊が健在。そこへセンス抜群のMF中村慶太(←清水エスパルス)、MF加藤匠人(←筑波大)がレギュラーの座を狙う。その加藤はロングレンジのパスやミドルシュートが武器。アカデミー時代からの同僚である森と縦のホットラインを開通できれば、躍進の大きな力になり得る。

 最終ラインでは、ロアッソ熊本のJ2昇格を支えた左サイドバックのDF岩下航がブレイク候補。さらにアカデミーから昇格のDF田中隼人は来年のU-20ワールドカップに向けて強化を図るU-18日本代表候補の1人で、センターバックのレギュラーを担い得る世代屈指のタレントだ。

■主な獲得選手
【Pos./選手名/前所属】
FW ドウグラス ヴィッセル神戸
FW 森 海渡 筑波大
MF 小屋松知哉 サガン鳥栖
MF 中村慶太 清水エスパルス
DF 岩下 航 ロアッソ熊本

■主な放出選手
【Pos./選手名/移籍先】
FW 瀬川祐輔 湘南ベルマーレ
FW クリスティアーノ V・ファーレン長崎
FW 神谷優太 清水エスパルス
MF 仲間隼斗 鹿島アントラーズ
DF 山下達也 セレッソ大阪

【22年シーズン陣容の注目ポイント】
 昨夏から主力選手たちの退団が続いており、不安は否めない。ただしポジティブに考えると、ネルシーニョ監督が求める“必要戦力”が留まり、そこへ小屋松や中村といった戦術遂行力の高いタレントが加わることで、バランスはアップしたとも言える。

 大きな期待が懸かるのは、実績のあるドウグラスだ。神戸で2シーズン連続7ゴールをマークしており、ある程度の計算は立つ。34歳ながらもコンディションさえ良ければ二桁得点も十分可能だろう。また、決定力だけでなく、アシスト能力も高い。2トップが予想されるなかで、武藤やFWアンジェロッティ、細谷、さらには大卒ルーキーの森などと相乗効果を生めれば得点力が引き上がる。

 新戦力の活躍はもちろん、ネルシーニョ監督の采配も命運を左右するポイントの1つだろう。2011年シーズンにはクラブ初のJ1リーグ制覇をもたらすなど、その手腕でJリーグを席巻してきたが、当時からリーグ全体の戦い方が変化しているのも事実。位置的優位を意識した戦術を取り入れているものの、狙いが噛み合わない試合も多かった。

 新進気鋭の指揮官が増え、かつてほどの存在感を発揮できていない印象のほうが強い。それでも、戦術に合わせつつ現有戦力を上手く活用すれば中位以上は十分に可能だろう。期待したいのはカップ戦のタイトルだ。ルヴァン杯では大卒ルーキーやトップ昇格選手を成長させる良い機会ともなるだけに、経験を積ませながら上位進出を狙っていきたい。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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