「1つでも多くタイトルをプレゼントしたい」 興梠慎三が新天地・札幌で誓う恩師への男気
【独占インタビュー】9年過ごした浦和を離れて新たな挑戦「決断に一切の悔いはない」
歴代3位のJ1通算158ゴールを誇る元日本代表FW興梠慎三は、9シーズンを過ごした浦和レッズを離れ、レンタル移籍で北海道コンサドーレ札幌の一員となった。かつて指導を受けた“ミシャ”ことミハイロ・ペトロヴィッチ監督と再びタッグを組み、完全復活を誓う1年。35歳のストライカーは、「1つでも多くタイトルを獲りたい」と闘志を燃やす。(取材・文=FOOTBALL ZONE編集部・小田智史/全3回の1回目)
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プロキャリア17年の興梠にとって、2021年は我慢のシーズンだった。20年シーズンのJ1リーグ最終節・札幌戦で負った右腓骨筋腱脱臼の影響で開幕に出遅れ、戦列復帰したあとも途中出場が主な役割。12年から続けていたJ1で9年連続2桁得点の記録は途切れ、リーグ戦20試合1ゴールという成績に終わった。興梠自身、「不甲斐ないシーズンでした」と悔しさをにじませる。
「怪我でキャンプの調整が思うようにできず、出遅れてしまいました。徐々にコンディションが上がっていくなかで、チームがやりたいことと、自分がやりたいことがマッチしない部分があって、なかなか試合に出られなかった。でも、自分はそこで腐ることなく、日々のトレーニングに励んでいましたし、まだできるという自信はありました。そのなかで、こうしてオファーをくれた北海道コンサドーレ札幌には感謝しています」
興梠は昨年12月29日に札幌へのレンタル移籍が発表された際、「大事な家族、大事なクラブから離れてこのクラブにやってきました。生半可な気持ちでこのクラブにやって来たわけではありません」と男気のあふれるコメントを残している。9年間過ごした浦和を離れる決断は、「正直、難しかったです」と胸中を明かす。
「長く浦和レッズに在籍して、(現役を)やめるならここだと決めていました。ただ、まだできるという自信もあったし、チャンスがあればもう一度ミシャ(ペトロヴィッチ監督)の下でやりたいとずっと思っていたので、難しかったですけど、決断に一切の悔いはありません。去年の夏にも北海道コンサドーレ札幌からオファーを頂いたなかで、家族と離れることが僕としては一番つらくて、当時はなかなか決断できなかった。今回に関しては家族が後押ししてくれたこともあって、大好きな家族を置いて北海道に来たので、身体がぶっ壊れてでもミシャのため、チームのために全力で戦いたいと思います」