命運を分けた守護神の一歩 元日本代表GKが語る、ポルトガルのEURO優勝決定弾が生まれた理由

土肥氏がGK視点で分析 「ロリスは相手のシュートを読み過ぎた」

 欧州選手権(EURO)フランス大会は、ポルトガル代表が決勝戦で延長にもつれ込む死闘の末にフランス代表を1-0で下した。ポルトガルは前半のうちにエースFWクリスティアーノ・ロナウドが負傷交代するアクシデントがあったものの、0-0で迎えた延長後半4分に途中出場のFWエデル(リール)が強烈なミドルシュートを叩き込んだ。

 ポルトガル代表を悲願のメジャートーナメント初優勝に導いた一撃が生まれた裏には、名手の悔やまれる一歩が存在したという。かつて元日本代表GKとしてジーコジャパンに名を連ね、Jリーグでもベストイレブンに輝いた経験のある土肥洋一氏(現・東京ヴェルディGKコーチ)は、GKの視点から優勝決定弾のシーンを次のように分析している。

「ロリスはうまい。今大会を通じても安定していた。でも、最後の失点は後悔が残っているかもしれません。相手のシュートを読み過ぎましたね。シュートが撃たれる前に一歩先に動いてしまいました。そこで、一番GK泣かせのシュートが来てしまいました。体が動いている時に、あのコースに飛んできた」

 失点の直前、中盤で縦パスを受けたエデルに対して、フランス代表のDFローラン・コシエルニー(アーセナル)は体を寄せていたが、直前にイエローカードを受けたことが頭をよぎったのか、球際で強く行けずに振り切られてしまう。ドリブルを開始したエデルの目の前にはDFサミュエル・ウムティティ(バルセロナ)が立っていたが、距離を狭めようとしなかった。

 その様子を見ていたロリスはエデルがシュートを放った瞬間、自身の左側へのコースを予測した。そして一歩左にステップを踏んだ瞬間に、予想とは逆の右側のコースにシュートが飛んできた。これが攻勢を強めていたフランスと、終始守勢だったポルトガルとの運命の分かれ道となった。

 

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