マジョルカ久保へのリアル評は? 現地記者が見解、「主役を演じなければいけない」と厳しい指摘も
【スペイン発コラム】カディス戦でスタメン出場、積極性が光るプレーへ高評価
マジョルカの日本代表MF久保建英がリーガ・エスパニョーラ第23節カディス戦でスタメン出場し、積極的にゴールを狙う姿勢を示した。
マジョルカは、コパ・デル・レイ(国王杯)準々決勝で敗退し、公式戦5戦連続未勝利という厳しい状況のなか、残留争いのライバルであるカディスをホームに迎えた。
マジョルカが勝ち点20で17位、カディスが勝ち点18で18位の下位対決。マジョルカは、この試合で負ければ今季初の降格圏落ちとなるため、クラブは「あなたを必要としている」というスローガンを掲げたポスターを作成し、SNSを通じて“スタジアムで我がチームを応援して欲しい”と全サポーターに訴えかけた。
またルイス・ガルシア監督は前日会見で「今の悪い流れを変える機会だ。カディスは直接のライバルなので、もし我々が勝つことができれば彼らに勝ち点5差をつけ、直接対決の結果でも上回ることができる。さらに我々は彼らよりも消化試合が1試合少ない」と結果次第で大きなアドバンテージを得られることを強調していた。
クラブはこの大一番を盛り上げるため、試合当日にスタジアムで様々なイベントを実施。2003年にマジョルカが優勝したコパ・デル・レイのトロフィーと一緒に写真撮影できる場を設け、会場に来た人々にパエージャを振る舞うなど、お祭りのような雰囲気を演出。さらにキックオフ直前には、熱狂に包まれたスタジアムのバックスタンドに「上に行け!」という大きな横断幕が掲げられ、チームとサポーターが一丸となってカディス戦に臨んだ。
このようにサポーターの熱い後押しを受けた状況のなか、久保は公式戦2試合ぶりに先発復帰。リーガ3試合連続の先発出場を果たし、4-4-2の右サイドハーフでプレーした。
マジョルカは前半8分に先制を許すも、MFサルバ・セビージャと新加入FWベダト・ムリキの2本のPKで逆転し2-1で勝利した。リーガの連敗を4で止め、6試合ぶりの勝ち星を挙げたなか、久保は特に前半、積極的にチャンスを作っていった。
まず前半13分にCKからムリキのヘディングシュートをお膳立てすると、同30分にMFダニ・ロドリゲスのサイドチェンジを巧みなトラップで受けて、マーカーのDFアルフォンソ・・エスピノと対峙しながら左足でシュートを打った。さらにその7分後、FKからムリキのシュートチャンスを作れば、同44分にはうまい抜け出しから左足を振り抜いた。
後半に入っても久保は良い動きを見せ、同3分に左サイドでエスピノをドリブルで突破してグラウンダーのクロスを入れ、ムリキに合わせようとした。その後、DFイサ・カルセレン、DFビクトル・チュストのイエローカードを誘発してカディス守備陣を混乱させ、同44分にピッチを去り、観衆から大きな拍手が送られた。
高橋智行
たかはし・ともゆき/茨城県出身。大学卒業後、映像関連の仕事を経て2006年にスペインへ渡り、サッカーに関する記事執筆や翻訳、スポーツ紙通信員など、スペインリーグを中心としたメディアの仕事に携わっている。