アジア杯4強敗退のなでしこJへ 岩清水梓が愛ある叱咤「アジアで優勝できなかった事実に向き合ってほしい」

今後に期待したいのは植木理子と宮澤ひなた

 結局のところ、グループリーグ3試合を終えたところで出ていた「ボールは持てているけどチャンスの数が少なく、結果的には止められてしまう」という課題は、タイ戦ではクリアされていましたけど、中国戦では植木理子選手の2ゴールだけでしたし、大会中での課題解決には至らなかったですね。もっと点を取る人が、タレント的にはいたはずなので、点を取ってほしい人がゴールにもっと絡んでいかないといけなかったですね。

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 現時点での課題を挙げるとすると、攻撃面で言えば決定力です。これから世界を相手に戦うとなると、アジアとは比べものにならないほどチャンスの数も少なくなってきます。であれば、なおさら決定率を上げていくことが重要になります。また守備面では、今大会は守る試合が少なかったというのもあるのですが、攻められたらやられてしまうという弱さを露呈してしまいました。そこを強くしていかないと、上には行けません。

 熊谷選手がゲームの進め方の迷いを少し口にしていましたが、ピッチの上では「どうしよう」ではなく、「こうしよう」と選手たち自身で決めていかなければいけないことだと思います。ゲーム中に守らないといけない時間帯は必ず来ます。最後の最後はボールをクリアしたり、一回流れを切ることがセオリーだったりします。なのに後半立ち上がりと、延長後半のアディショナルタイムに失点しました。ゲームの入り方と締め方ができていないわけですから、そういった大事な時間帯でのプレーの選択は今大会の敗戦から学んでほしい点です。

 その一方で個人に目を向けると、今後に期待したい選手もいました。それが植木理子選手と宮澤ひなた選手です。植木選手は韓国戦でもほしい時間帯にゴールしましたし、結果的には負けましたが、中国戦でも2ゴールを決めました。世界と戦えるところを見せてもらいましたし、FWとして結果をきちんと残すことができました。また宮澤選手はゴールに絡むシーンが非常に多かった。彼女の特徴である触るだけで決まるような質の高いクロスを上げていて、攻撃の起点になっていました。2人とも池田太監督体制下で出場の機会を得た選手なので、なでしこジャパンの新しい戦力でもありますし、今後に非常に期待の持てる選手だと感じました。

 ただ、チーム全体としての積み上げで言うと、正直、積み上がったものはないと感じました。戦い切った末に優勝していたら、一段階レベルが上がったと感じられたかもしれませんが、そうではありませんでした。選手たち自身もアジアでは優勝しないといけないと思っているはずですし、実際に戦って負ける相手ではなかったと感じているはずです。敗戦の捉え方は個人個人で違うのかもしれませんが、アジアで優勝できなかったという事実にはきちんと向き合ってほしいと思います。

 選手たちはそれぞれ所属チームに戻ることになりますが、WEリーグの選手たちは世界基準で日々を積み重ねていくしかありませんし、海外の選手たちはさらなるレベルアップが必要です。代表としては今後、池田監督がメンバーを少し固めながら強化合宿を行っていければコンビネーションもできていくと思います。そこにぜひ、WEリーグで活躍している選手もたくさん呼んでいただければ、楽しみですし、期待したいところです。また、今回の敗戦をあえてプラスに捉えるならば、「あの時負けたから強くなれた」といつか言えるように、来年のW杯ではしっかりと結果を残さないといけないと思います。今大会もたくさんの方がなでしこジャパンを応援してくれました。“なでしこジャパン”が忘れられないように、1つ1つ結果を出していってほしいと思います。

(FOOTBALL ZONE編集部)



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