アジア杯4強敗退のなでしこJへ 岩清水梓が愛ある叱咤「アジアで優勝できなかった事実に向き合ってほしい」
なでしこジャパン大会3連覇ならず、準決勝で中国に敗れてベスト4敗退
なでしこジャパン(日本女子代表)は2月3日、インドで開催されている女子ワールドカップ(W杯)予選を兼ねた女子アジアカップの準決勝で中国と対戦。2-2のままPK戦へ突入し、最終的に3-4で敗れて大会3連覇を逃した。2011年にW杯優勝を経験した元なでしこジャパンDF岩清水梓(日テレ・東京ヴェルディベレーザ)は、どんな印象を抱いたのか。ベスト4に終わった今大会の戦いぶりを総括してもらった。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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今回、女子アジアカップでのなでしこジャパンの戦いはベスト4という結果に終わりました。正直、“世界”を目標に掲げている以上、アジアの大会でつまずいてはいけなかったと、期待を込めて感じました。
来年のワールドカップ出場権が懸かった試合という意味では、準々決勝のタイ戦はしっかりと勝てて良かったと思います。開始すぐにアクシデントがあり、菅澤優衣香選手が急遽ピッチに入りましたが、彼女の常に準備している姿勢や途中からでも遜色なく試合に入っていける器用さから4ゴールを決めることができたんだと思います。グループリーグとは違っていろんな形から7ゴールを決めることができたので、チームとしてもようやくこれからだなと思っていました。
ただ、やはり東アジア諸国とそれ以外のアジアの国とではちょっとレベルの差があることを考えると、タイ戦を含めて守備をする機会はそう多くはありませんでした。結果、グループリーグ3戦目の韓国戦もそうですし、準決勝の中国戦もそうでしたが、いざ守備の時間になった時に見ていて不安が残る戦い方になってしまう。要は、あまり自陣に攻め込んでこなかった準々決勝のタイ戦を挟んだために、準決勝の中国戦ではまた守備のやりづらさが出てしまったのかなと感じました。
中2日での連戦が続いていたなかで、疲労の蓄積ももちろんあります。日本のほうが前からアグレッシブに守備もしますし、タイ戦の時のように攻め続けることで疲労も溜まっていきます。とはいえ、中国戦ではミスが多かった。おそらくこれがタイ戦だったら、仮にミスをしてもすぐにミスを取り返せたと思うんですが、中国戦ではそれができなかったためにミスが浮き彫りになってしまった。
それに、失点の時間帯も仕方も良くなかった。ハーフタイムを経て、1-0でリードしている状況で「このまま続けていこう」というフワッとした入り方だったんだと思います。そういう失点の仕方でした。本当にもったいなかった。一発で決める中国もすごいですが、右サイドにあれだけ人が集まってしまったら、当たり前ですけど中は空いてしまう。あの失点シーンは普通に相手ボールを奪えたはずので、本当にイージーなミスだったと思います。
それに最終ラインにキャプテンの熊谷紗希選手がいる以上、そこは彼女がチームを引き締めないといけなかった。厳しいことを言わせてもらえば、それができなったという甘さが露呈してしまったシーンだったと思います。結果、後半すぐに同点に追い付かれて、試合が振り出しに戻ってしまったことで、おそらくハーフタイムに話していたゲームプランも全部崩れてしまったんだと思います。
それでも追加点を奪えるシーンはありました。相手にもイージーなミスはありましたし、「そこは決めておこうよ」というような決定機も実際のゴール数以上にありました。ですが、1-0でゲームを進めるか、1-1になって焦ってゲームを進めるかではまったくプランが違ったと思います。もちろん1-1になってしまった以上は切り替えてやるしかありませんでしたが、そういったゲームを落ち着かせるようなリーダーシップを発揮する人がチーム内にもっと出てこないといけないですね。
もちろん、まだできたばかりの新しいチームで経験値が足りていないという見方もできます。でも、そもそも代表というのは経験値や出場数の問題ではなく、試合に出ている選手たちが責任を持ってゲームを進めないといけない。たとえ内容のいい試合をしたって、負けてしまえば「敗戦」という文字がニュースになってしまう。それが日本代表です。