日本代表3つの謎 ファンの誰もが感じる「なぜ?」 膠着上等、南野との関係性、相互依存の既得権益が鍵
【識者コラム】謎1:森保監督はなぜいつも同じ先発メンバーを選ぶのか?
サウジアラビア代表に2-0と快勝。カタール・ワールドカップ(W杯)へあと一歩と迫った日本代表だが、ここまでの戦い方にはいろいろと疑問も付きまとう。というわけで、ファンの誰もが感じそうな疑問点について考えてみた。ちなみに、答えを知っているのは森保一監督だけなので、以下の論考が合っているかどうかは定かではありません。
謎1 森保監督はなぜいつも同じ先発メンバーを選ぶのか?
ここまでの予選8試合で全試合先発しているのは大迫勇也、長友佑都、権田修一の3人だけだ。なんだ、世間が言うほど固定されていないじゃないかと思われるかもしれないが、出場停止や負傷欠場もあるので、まあこんなものだろう。吉田麻也、冨安健洋は何もなければ全部出ていただろうし、伊東純也も出場停止で1試合休んだだけだ。4-3-3にシステムを変えたオーストラリア代表戦以降は田中碧、守田英正は5試合連続先発である。逆にシステム変更で割を食ったのが柴崎岳と鎌田大地。4-2-3-1の時は2人とも先発しているが、田中、守田、遠藤航のトリオが確定してから出番がなくなった。
さて、なぜこうも先発固定なのかというと、1つの理由はフィジカル重視というのがあると思う。
2019年のアジアカップで日本代表はいわゆる「塩試合」を連発している。そして直近の中国代表、サウジアラビア代表との2試合も内容は違うが前半は膠着状態だった。森保監督にとって膠着状態は問題なし、あるいは望ましいといっていい展開なのではないか。ファンは「塩」だの「しょっぱい」だの不満を言うかもしれないが、どうもそれでいい、もしくはそれがいいようなのだ。
思い返せば、ロシアW杯の4試合はどれも均衡していた。カタールへ行っても、おそらく日本代表は接戦ベースの試合をすることになるだろう。華麗に圧勝したいという幻想はまったく抱かない監督なのだと思う。膠着上等。
試合を膠着させるには、最低限相手に好きなようにやらせてはいけない。それには隙のない守備が大事。球際大事。というわけで、先発メンバーはフィジカルの強い選手が並ぶ結果となっている。久保建英は先発1試合のみ、堂安律、三笘薫は交代出場のみ。テクニカルな選手よりインテンシティー高めの面々を優先した結果、けっこうメンツが決まっているのではないか。
西部謙司
にしべ・けんじ/1962年生まれ、東京都出身。サッカー専門誌の編集記者を経て、2002年からフリーランスとして活動。1995年から98年までパリに在住し、欧州サッカーを中心に取材した。戦術分析に定評があり、『サッカー日本代表戦術アナライズ』(カンゼン)、『戦術リストランテ』(ソル・メディア)など著書多数。またJリーグでは長年ジェフユナイテッド千葉を追っており、ウェブマガジン『犬の生活SUPER』(https://www.targma.jp/nishibemag/)を配信している。