キャプテン遠藤航のボール奪取減少が影響? シュツットガルト17位大苦戦、伊藤洋輝の高精度キックに光明

フライブルク戦でポジティブな要素も 伊藤が起点となり監督が何度も拍手

 不安材料ばかりが挙げられるが、フライブルク戦ではポジティブな要素もあった。肩の脱臼で長期離脱していたオーストリア代表FWササ・カライジッチが復帰し、3試合連続スタメン出場で徐々に調子を取り戻している。

 前線でボールを収めることができる彼の存在はやはり大きい。フライブルクはドイツ代表DFニコ・シュロッターベック、オーストリア代表DFフィリップ・ラインハートが必死に競り合いに行くが、ボールを収めたり、味方にパスをしたりと、流れを生み出そうとしていた。カライジッチを起点に攻撃のスイッチを入れられたシーンがそれなりにあったのは収穫と言えるだろう。

 もう一点挙げるとしたら、伊藤からの精度の高いロビング(浮き球)ボールだ。高い位置からプレスにくるフライブルク対策もあったと思われるが、伊藤がボールを持つと相手守備の裏へ走り抜ける動きが多々見られた。伊藤からのボールが高確率で渡り、マテラッツォ監督も何度も拍手を送っていた。パスが渡った後のプレー精度を高めれば、シュートチャンスへと導く手立てを増やせるはずだ。

 代表戦による中断期間を利用し、シュツットガルトはスペインのマジョルカへ短期合宿を敢行した。

「合宿をする。集中して取り組める。選手が長い時間一緒に過ごし、互いにコミュニケーションが取れる機会を持つことがチームにもたらすものは大きい。ポジティブに次の試合へ向かえるように準備したい」

 マテラッツォ監督はそう言葉に力を込めていた。中断明けのフランクフルト戦へ向けて万全の準備で挑む。

(中野吉之伴 / Kichinosuke Nakano)

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中野吉之伴

なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。

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