キャプテン遠藤航のボール奪取減少が影響? シュツットガルト17位大苦戦、伊藤洋輝の高精度キックに光明
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【ドイツ発コラム】メンバーを揃えることに四苦八苦するシュツットガルト
日本代表MF遠藤航、DF伊藤洋輝がプレーするドイツ1部シュツットガルトが苦しんでいる。
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20節でフライブルクに0-2で敗れ、順位は2部降格圏となる17位(18チーム中)に沈んでいる。直近5試合未勝利に加え、無得点というのは、なんとも心配なチーム状況と言わざるを得ない。
フライブルクのクリスティアン・シュトライヒ監督は「数か月間も主力が欠場していたらチームとして難しいというのは誰もが分かるところ。ポテンシャルは高いチームだ。選手が復帰し、全力でプレーできる状況を取り戻せることを祈っている」と試合後の記者会見で話していたように、シュツットガルトは今季試合ごとにメンバーを揃えることに四苦八苦していたという事情がある。
キャプテンの遠藤にしても、ボランチでコンビを組んでいたMFオレル・マンガラの負傷離脱が影響し、インサイドハーフ起用も多かった。昨季のシュツットガルトは、周りの若い選手が精力的にプレスをかけ続け、中盤センターで遠藤がボールを奪取・回収する流れがスムーズにできていたが、それが上手くはまらない場面が増えてきているのが気がかりだ。
例えばフライブルク戦では、遠藤とマンガラの2ボランチが守備時に数的不利になる場面が少なからずあったのだ。これはフライブルクの選手が柔軟にポジションチェンジをしながら、中盤センターにできていたスペースへ流れてきたために起きた現象だが、それに対して、シュツットガルトのオフェンス陣は守備で後手になるケースが多かった。
さらにフライブルクは左サイドバック(SB)のクリスティアン・ギュンターが高めの位置を取り、代わりにMFビンツェンツォ・グリフォが下がってボールを受けたり、右SBルーカス・クリュンターが変則3バックのような守備的な立ち位置でいながら、試合の流れでポジションをスルスルと上げて、オーバーラップを仕掛けるといったシーンが何度もあった。そうなった時にシュツットガルトは「ポジションを下げてくる相手FWをどうするのか」「攻め上がってきたクリュンターを誰が見るのか」といったところで瞬時に対応できず、危険なところへボールを運ばれてしまう。
こうした状況から、ドイツメディアは「シュツットガルトは若い選手が多いことで残留争いのための経験が不足しているのではないか」という点を指摘していたが、確かにそうした側面はあるだろう。ただ、上手くいっていない時はどうしても自分たちのミスに敏感になりすぎてしまうという点も考慮すべきだろう。
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中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)取得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなクラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国で精力的に取材。著書に『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。