【J1全クラブ最新布陣】横浜FMは3年ぶりの優勝が目標 堅実補強の福岡と清水の完成度は?
清水は2年目の平岡監督の下でどのようにチームを完成させるか
■清水エスパルス/昨季成績
J1リーグ:14位(勝ち点42/10勝12分16敗)
ルヴァン杯:プレーオフステージ敗退
天皇杯:ラウンド16敗退
【今オフ補強動向】
鹿島アントラーズから復帰のMF白崎凌兵は、確実にプラスアルファを加えてくれそうなタレントだ。創造的なチャンスメイクなど高い個人能力を持ちながら、チームプレーもしっかりこなせる選手で、平岡宏章監督も開幕時から起用しやすいはず。MF神谷優太(←柏レイソル)はボールを持って自在性の高いドリブルやスルーパスなど、Jリーグでも個の高い力は際立っている。それでいて前からのプレッシングなど、守備のハードワークにも定評があり、本当の意味でのブレイクが期待されるタイミングで清水が迎え入れた格好だ。
さらに北九州で大きく成長したFW髙橋大悟が、どこまでレギュラー争いに食い込んでくるか。大卒ルーキーのDF山原怜音(←筑波大)は昨年すでに特別指定選手としてリーグ戦6試合を経験。浦和戦ではチームを残留に大きく前進させるアシストを記録しており、ガンバ大阪のFW山見大登などと並びルーキーイヤーからの爆発的な活躍が期待される。左サイドバックと攻撃的なポジションをこなせるが、平岡監督がどこにスペシャリティーを見出していくか。
徳島から加入のMF岸本武流は守備面をしっかりとこなしながら、ビルドアップのクオリティーを引き上げられる選手。さらにパワフルな仕掛けが目を引くFW加藤拓巳(←早稲田大)、プレミアリーグEASTの得点王である昇格組のFW千葉寛太もいきなりブレイクが期待できる大型ルーキーだ。
■主な獲得選手
【Pos./選手名/前所属】
FW 髙橋大悟 ギラヴァンツ北九州
FW 千葉 寛汰 清水エスパルスユース
FW 加藤拓己 早稲田大学
MF 白崎凌兵 サガン鳥栖
MF 岸本武流 徳島ヴォルティス
MF 神谷優太 柏レイソル
MF 川谷 凪 静岡学園高校
DF 菊地脩太 清水エスパルスユース
DF 山原怜音 筑波大学
■主な放出選手
【Pos./選手名/移籍先】
FW 指宿洋史 アデレード・ユナイテッド(オーストラリア)
FW 藤本憲明 ヴィッセル神戸
DF ノリエガ・エリック 未定
DF エウシーニョ 未定
【22年シーズン陣容の注目ポイント】
昨シーズンは新監督の下で積極補強が裏目に出てしまった感もあるが、終盤から平岡監督の下で主力メンバーのほとんどが残ったところに、神谷や白崎などタレントが加わった形で、軸がブレる心配がほぼないことが心強い。ロティーナ前監督のサッカーを1つの完成形まで持っていけなかったことは残念な部分もあるが、コーチとして支えていた平岡監督も承知しているだろう。
ただ、残留のために割り切った戦いを強いられた終盤戦よりもクリエイティブなサッカーを目指していくことは間違いない。平岡監督は選手の個性を生かしながら、組織として組み上げる手腕に優れている。終盤戦で残留争いを支えたメンバーに新戦力がどうブレンドされているか。オーソドックスな4-4-2が引き続きベースになりそう。2年目以上の選手で特に期待したいのがパリ五輪世代のMF松岡大起とMF鈴木唯人。1月にはA代表の候補合宿に参加して、基準を引き上げる効果はあったと考えられる。
A代表の守護神であるGK権田修一は彼らがもっとプレーで表現して行ってほしいと語っていた。清水の主力であることに満足せず、年長の選手も含めて周りを引っ張り上げるぐらいのリーダーシップが求められてくる。アンダーカテゴリーでもキャプテンを担ってきた松岡と鈴木唯人ではキャラクターが異なるものの、それぞれの役割の中でスペシャルな輝きを放てば、中堅の選手たちにも良い意味で危機感を与えそうだ。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。