浦和MF柴戸海、劇的変化で「世界が変わった」 特別な“22番”継承…レジェンド阿部勇樹の激励とは?

今季から背番号「22」を背負ってプレーをするMF柴戸海【写真:轡田哲朗】
今季から背番号「22」を背負ってプレーをするMF柴戸海【写真:轡田哲朗】

阿部勇樹から受け継いだ22番「その番号で埼スタでプレーしたい」

 浦和レッズのMF柴戸海は、昨季限りで現役を引退した元日本代表MF阿部勇樹から背番号「22」を受け継いで新シーズンに臨む。明治大から浦和入りして5年目のダイナモは「阿部さんが引退する時に22番を自分が付けられるように成長して、認めてもらえるように」という思いがあったと話した。

【注目】白熱するJリーグ、一部の試合を無料ライブ配信! 簡単登録ですぐ視聴できる「DAZN Freemium」はここから

 柴戸は2018年に明治大から浦和に加入し、昨季まで「29番」を付けた。その理由が「阿部さんがプロになった時の番号ということで付けさせてもらった」というもの。そして「一緒にプレーした阿部さん、ピッチの内外から自分の目で見続けたサッカー選手、1人の人間としての阿部さんを見続けて、より22番を付けてプレーしたいと。浦和レッズの22番は特別なんだと思いながら、その番号で埼スタでプレーしたいという気持ちになった」と語る。

 一方で、柴戸が浦和のボランチの中でも中心的な存在になったのは、昨季の4月以降だ。それまで、市立船橋高校時代から培われてきたスタミナやボール奪取能力にこそ定評はあったが、ビルドアップに関わる部分に関しては多くの課題が指摘された。それもあり、どちらかと言えばリードした試合の残り15分で投入されるクローザーのような立場としての時間が長かった。

 それに変化が起こったのが、昨季のリカルド・ロドリゲス監督の就任だった。ボランチに求められるものが大きく変わり、阿部だけでなく大卒ルーキーのMF伊藤敦樹や他ポジションでもプレーするMF小泉佳穂が重用された。それまで「相手関係なしにボールに向かってしまうことが多かった」という柴戸が重視するようになったのが、「立ち位置」と「相手への影響力」だった。

「寄らないというか、そこに立つことで相手が自分を意識しなくてはいけなくなって、ほかが空くという考え方。そこに立つことでフリーなら前に向けるし、相手の重心が自分に向けば周りが空くと。自分がボールを受けた時、まずは前を向く。いい位置に立つことで視野も余裕も広がるので、奪われない位置にボールを置けるようになった。そういうところが成長したと思う。一番は、立ち位置を考えながら変えていけたことで、見える世界が変わった」

 劇的にプレーを変化させた柴戸は、チームの中で不動の存在になった。そしてシーズンの末に阿部が現役を引退し、指導者の道を歩むことが決まった。入団以来「阿部さんが引退する時に22番を自分が付けられるように成長して、認めてもらえるようにと取り組んでいた」という柴戸が、22番を付けることにクラブもGOサインを出した。

 一方で、阿部からは「海は海らしく。海が持っている良さ、22番を気負いすぎず、重く受け止めすぎずに自分らしくやってほしい」という声もかけられたと話す。だからこそ、柴戸は今季「浦和の22番は阿部勇樹から、浦和の22番は柴戸海として覚えてもらえるようにしたい」と気持ちを新たにしている。

 2度のAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇や、長年キャプテンとして浦和を支えてきた阿部の背中は偉大だが、浦和の中心部に「22番」が君臨する歴史を受け継いでいく。

(轡田哲朗 / Tetsuro Kutsuwada)



page 1/1

今、あなたにオススメ

トレンド

ランキング