【J1全クラブ最新布陣】王者・川崎のチャナティップ起用法は? 大幅入れ替えの鳥栖、片野坂ガンバが躍進も!?

気鋭の川井新監督を迎えた鳥栖、一桁順位も可能な陣容

■サガン鳥栖/昨季成績
J1リーグ:7位(勝ち点59/16勝11分11敗)
ルヴァン杯:グループリーグ敗退
天皇杯:4回戦敗退

【今オフ補強動向】
 今オフのIN&OUTが激しいなかで、鳥栖を知るMF藤田直之(←C大阪)、MF福田晃斗(←新潟)、MF小野裕二(←G大阪)の加入は若いチームの支えという意味で大きい。

 さらに6人の大卒ルーキーを加えたことが大きなポイント。大学屈指のセンターバックとして知られたDF孫大河(←立正大)はDFエドゥアルドが横浜FMへ移籍したこともあり、いきなり主力を張ってもおかしくない。

 主力が大量に抜けた前線、2列目は即戦力の活躍抜きに語れないところがある。FW荒木駿太(←駒沢大)はインカレMVPなど、大学サッカーファンなら誰もが知るタレント。また、泥臭くゴールを狙えるFW藤原悠汰(明治大)、かつてのFW林大地(シント=トロイデン)のような雰囲気も漂うFW梶谷政仁(←国士舘大)などのポテンシャルも高い。

 もちろんエースとして期待されるFW垣田裕暉(←鹿島)、その垣田と徳島で多くのゴールを奪ったFW宮代大聖(←川崎)、そして経験豊富な小野は戦力として確実に計算できるが、大卒ルーキーの突き上げが躍進の鍵になることは間違いない。

■主な獲得選手
【Pos./選手名/前所属】
FW 垣田裕暉 鹿島アントラーズ※レンタル
FW 宮代大聖 川崎フロンターレ※レンタル
MF 藤田直之 セレッソ大阪
MF 小野裕二 ガンバ大阪
MF 西川 潤 セレッソ大阪※レンタル

■主な放出選手
【Pos./選手名/移籍先】
FW 山下敬大 FC東京
MF 仙頭啓矢 名古屋グランパス
MF 小屋松知哉 柏レイソル
MF 酒井宣福 名古屋グランパス
DF エドゥアルド 横浜F・マリノス

【22年シーズン陣容の注目ポイント】
 J1残留がクラブの目標になるだろう。ただし、気鋭の川井健太監督と選手の目指すところはそこではないはず。若手の多い既存戦力に経験豊富な選手も含めた新戦力がうまく融合すれば、昨年に続く一桁順位も可能な陣容だ。

 システムは現状4-4-2、4-3-3、3-4-3とすべて考えられるが、指揮官の基準ではスタートポジションに過ぎない。大事なのはそこからどうゴールに矢印を向けて動いて行くか。川井監督といえば昨年、山形のコーチとして後半戦の躍進を支えたことは記憶に新しい。“ボールを握り、相手の思考を停止させる”サッカーを目指すなかで、ボールを奪いにいく守備に求める強度も高い。

 昨年の主力や準主力がごそっと抜けたことへの懸念はあるが、キャンプ中の選手の声を聞く限り、川井監督の求めるサッカーの強度や質は高く、それをしっかりとモノにできれば、十分に戦えるという手応えは感じさせる。

 やはり鳥栖を知る藤田、福田、小野の存在は大きいようで、大卒ルーキーの梶谷も「学ぶことは多い」としみじみ語っている。エドゥアルドが抜けた守備陣に関しては、チームの柱であるGK朴一圭を筆頭にDF田代雅也とDFファン・ソッコ、パリ五輪世代のDF中野伸哉というバックラインにアウトサイドのDF飯野七聖とDF中野嘉大、そしてボランチと最終ラインをマルチにこなせるMF小泉慶、MF島川俊郎と言った土台は残されている。さらに中盤に藤田と福田が戻ってきたことを考えれば垣田をはじめとした前線とのコンビネーションをいかに構築されるかが焦点となる。

河治良幸

かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。

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