「代表に僕自身がいる意味はない」 ベテラン長友、“不要論”渦中で秘めていた覚悟

サウジアラビア戦にスタメン出場したDF長友佑都【写真:AP】
サウジアラビア戦にスタメン出場したDF長友佑都【写真:AP】

提供かの中国戦から一転、サウジ戦で奮起「批判は自分にとってガソリン」

 代表での進退まで、胸に秘めてピッチに立った。カタール・ワールドカップ(W杯)アジア最終予選の中国戦後、2-0でチームが勝利したにも関わらず、DF長友佑都には不要論が飛び出した。過去3度のW杯出場を経験し、イタリアの名門インテルでも長年に渡って主力を務めるなど、日本サッカー史においても比類ない圧倒的な経験を持つ。しかし、35歳という年齢は、フィジカルに衰えが出てもおかしくない。世代交代を求める声が出てくるのは、自然なことでもある。

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 長友にも批判の声は届いた。それを受けて、彼は燃えた。「久しぶりに、『俺は今日は生きるか死ぬかだな』と思った。『今日できなければ、代表に僕自身がいる意味はない』と思っていたので。本当に魂込めて戦いました。自分でもびっくりするくらいの魂の叫びが聞こえていて、興奮しました」と、試合前の胸中を明かした。

 中国戦直後ということもあり、2月1日のサウジアラビア戦前、長友は「ブーイングをされるかな」とまで、思っていたという。しかし、埼玉スタジアムに集まったファン・サポーターは、ひと際大きなエールとも思える声援を、長友にかけた。

 試合後、長友は「すごく伝わってきました。すごく温かい、皆さんの声援と愛をもらったので、今日は絶対に、最高のパフォーマンスで恩返ししたいなという思いがありました」と、ピッチに足を踏み入れた瞬間の思いを口にした。

 そして、その思い通り、後半23分にベンチへ退くまで、長友はピッチで躍動した。多くの批判を受けたことも、自身の奮起につながったと、試合後に語っている。

「やっぱり、たくさんの批判をいただいたので、その皆さんの批判が僕の心に火をつけてくれた。あらためて、批判は自分にとってガソリン、必要なものだと感じました。追い込まれれば、逆境になれば、そっちの方が自分も力を発揮できる」

 批判を受ける重要性を口にした長友だが、すぐに「ただ、たくさん批判をもらって、このままだと燃えきってしまうので。今日だけでいいので、称賛という名の、栄養や水がほしいなと思います(笑)。まだまだ自分はできると思うので、2倍くらいの称賛、栄養は欲しいなと。皆さん、よろしくお願いします」と、おねだりした。

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