「C・ロナウドのためにも…」 仏の猛攻を凌いだペペ、負傷交代のエースに捧げたEURO初戴冠
「移民国家ポルトガルの代表として…」
延長戦に入ってもフランスがボールを保持したが、均衡を破ったのはポルトガルだった。延長後半4分に途中出場のFWエデル(リール)がゴールから20メートルほどの距離から強烈な低いシュートを放つと、これがネットに突き刺さった。この一撃が決勝点となり、ポルトガルが1-0で勝利を手にした。
「たくさん苦しんだ。本当に激しい試合だった。僕らは本当に一生懸命戦ったよ。ハードワークしなければいけなかったし、他のチームより謙虚でいなければいけなかった。それが勝つための、唯一の方法だった」
ペペの言葉どおり、今大会は苦しみながらも勝利を拾うポルトガルの驚異的な粘り強さが光った大会となった。グループステージでは3つの引き分けにより3位通過。決勝トーナメントでも準決勝のウェールズ戦(2-0)を除き、3試合で延長戦に突入する(準々決勝ポーランド戦はPK戦で勝利)過酷な戦いが続いた。今大会から参加国が24カ国に増え、グループステージ3位チームにも勝ち上がりの可能性があるという新レギュレーションの恩恵を最も受けたのが、チャンピオンに輝いたポルトガルという結果になった。
「僕らは最大限の努力をした。僕らは美しい移民国家のポルトガルの代表だ。国民を代表する一人として戦った。彼らのために全力を尽くしたんだ」
ポルトガルはこれでワールドカップ、EUROを通じて初のタイトルを獲得。EUROでは自国開催の2004年大会で準優勝という悔し涙を流した。「ポルトガルに何かをもたらす」と宣言していたロナウドにまさかのアクシデントが訪れたが、エースの不在をチーム一丸となってカバーした団結力の強さが、トロフィー獲得につながった。
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フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web
ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images