東京五輪がカタールW杯運営の参考例 広報部責任者がお手本とする日本の“おもてなし精神”
【インタビュー後編】カタールW杯は120万人のサポーター来場を見込む
カタール・ワールドカップ(W杯)は、1月25日で開催まで300日となった。大会組織委員会の広報部門責任者のファティマ・アルネイミ氏が「FOOTBALL ZONE」の単独インタビューに応じ、昨年無観客で行われた東京五輪を新型コロナウイルスの感染防止対策の観点などから「成功」と評価。優しさと親切さを重んじる日本文化に感動した経験を明かしている。(取材・構成=FOOTBALL ZONE編集部)
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「開催準備は予定通りです。公式スタジアム、地下鉄などのインフラはほぼ完成し、昨年11~12月のアラブカップなどの国際大会で実際に運用テストを繰り返している状況です。アコーグループと契約して、大会中に入国する120万人のサポーター向けの宿泊という部分も拡充しました」
開幕まで300日に迫ったW杯の準備状況を説明してくれたファティマ氏。アラブ初の開催に向けたインフラ整備は、今年11月の開幕に向けて順調に進んでいるという。
カタールW杯は新型コロナウイルス感染拡大の状況下での開催が想定されているが、自国開催のFIFAアラブカップでは有観客試合形式で、50万人の観衆を集めるなど、シミュレーションを重ねている。
世界各国から120万人のサポーターの来場を見込んでいるという大会組織委員会。W杯本大会運営の参考にするために、無観客開催となった東京五輪に専門家とスタッフを派遣していた。
「東京五輪については、改めて『おめでとうございます』と言いたい。東京五輪は成功だったと思います。根拠は新型コロナウイルスの感染率の低さです。大会期間中も非常に少なかったし、関係者の感染もほとんどなかった。それは、日本の組織委員会のプロトコルが適正に運用された結果でしょう」
ファティマ氏は東京五輪を「成功」と分析。大会関係者で感染者を抑え込んだ防疫策を高く評価した。そのうえで、「丁寧で緻密なマネジメントという東京五輪から我々が学んだ教訓はW杯にしっかりと落とし込みたい」と話している。