マンCとは対照的な“味” 熟成レアル、個に頼る旧態依然が醸し出す独特の美しさと品格

機能性、現代性はマンチェスター・シティとは対照的

 機能性、現代性ということではマンチェスター・シティとは対照的だ。

 シティは選手のポジションが入れ替わっても同じように機能する。選手が代わっても変わらない。実際には誰がやっても同じというわけではないのだろうが、戦術が先にあり、それを実現する駒として選手が機能していて、人が違ってもあまり影響を受けない。これはシーズンを戦い抜くうえでも大きなメリットだろう。

 一方、レアルは人に依存している。モドリッチもクロースもカゼミーロもいないなら、もはや別のチームだ。3人のテリトリーもはっきりしていて、シティのような頻繁なポジションチェンジもない。シティが最先端なら、レアルは旧態依然である。

 ところが、その旧態依然が独特の美しさを醸し出している。かつてのFCバルセロナにはシャビ、セルヒオ・ブスケッツ、アンドレス・イニエスタにリオネル・メッシが加わる素晴らしいユニットがあった。レアルもカリム・ベンゼマを加えたユニットが美しいのだが、バルサのように4人が近接してコンビネーションを見せるというわけではない。モドリッチとクロースは左右のエリアを明確に棲み分けていて、カゼミーロは2人のバックアップだ。ベンゼマもメッシほど3人に絡まない。この互いの職域を弁えた感じがまた奥ゆかしかったりする。

 戦術はフィールドのすべてをカバーするには目が粗すぎる。機械的なマニュアルではなく職人の勘と技術に託すレアルのやり方は、説明はしにくいけれどもこれまでの実績からいっても1つの正解なのだろう。そしてなんとも言えない品格がある。熟成されたレアルの賞味期限はあとわずかだ。その儚さゆえもあってか、輝きと奥深さはとても魅力的に映る。

(FOOTBALL ZONE編集部)

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