青森山田・松木玖生はプロで活躍できるか 古川陽介との違い、成功の鍵と最低条件とは?
FC東京で求められるマインドシフト、ビジョンの構築は不可欠
成功の鍵は「ボールを愛する」とアルベル監督が表現するスタイルのなかで、良いポジションを見つけていくビジョンの構築だ。
長谷川健太前監督から大きく変わるスタイルには経験のある選手たちもしばらく、良くも悪くも戸惑いながら1つ1つ課題をクリアして、完成度を上げていくことになる。そのなかで松木はプロ基準の適応と新しいサッカーの適応を同時に進めていかなければならない。
パスやキックの正確性に疑いの余地はないが、これまではコンタクトの強さなどを生かしてボールキープできていたところからマインドシフトして、チーム全体の設計を意識しながら、相手に触らせないで捌けるように、ポジショニングをディテールまで意識していく必要がある。
もちろん局面でフィジカル能力を生かすことは有効だが、高校年代のようにはまずいかないだろうし、何よりアルベル監督のスタイルはポジショニングや周囲との距離感が生命線になるので、少なからずマインドシフトは求められる。
幸い松木はアンダーカテゴリーの代表で個人戦術の部分はかなり高い基準で指導されているので、比較的埋めやすいはずだが、周囲の選手も新しいサッカーのなかで、しばらく試行錯誤することは松木にとってもハードルの追加要素になり得る。
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。