“4戦連発”絶好調の奥川雅也、ドイツで大活躍の秘密 「結構工夫している」こだわりとは?
奥川がこだわるポジショニングの取り方「結構工夫しながらやっている」
続く19節グロイター・フュルト戦との対戦は2-2の引き分け。最下位チーム相手だっただけに勝ち点3を手にして、降格圏を一気に脱出と行きたいところだったが、グロイター・フュルトもそこまで4試合を1勝2分1敗と悪くない状態だっただけに、ここは負けなかったことをポジティブに捉えたい。
そして、この試合でも先制ゴールを挙げたのが奥川だ。味方からのパスを受けるとスムーズな反転からペナルティーエリア内へと侵入し、相手の寄せをふわりと交わしてGKの逆を取るシュートをファーポストへと流し込んだ。
それにしても15節終了時で10得点しか取れていなかったチームが、ここ4試合で8ゴール。うち半分の4ゴールを奥川が決めている。ビーレフェルトでブンデスリーガ4試合連続ゴールを決めた選手となるとダーロン・バックリー以来(2004年6試合連続ゴール)。
チャンスシーンを見ていると、奥川のボールをもらう体勢がいつもいいのに気がつくはずだ。奥川本人も「自分の形に持っていけるのが多くなってきた」と話してくれたことがあったが、特にこだわりを持っているのがポジショニングの取り方だ。
「ボールを持った人が顔を上げた時に、相手の視界から消えてとか、結構工夫しながらやっている」
ボーフム戦後にミックスゾーンで話してくれた言葉だ。
守備側の選手は絶えずボールとスペースと相手選手の位置に気を配りながら動いている。どんなに優れたDFでもどこかの瞬間にボールへと視線を移す。だから相手の視野から外れるようにポジショニングを微調整しながら、そうしたタイミングを見逃さずに相手の背中へスッと消えてから動き出す。
中野吉之伴
なかの・きちのすけ/1977年生まれ。ドイツ・フライブルク在住のサッカー育成指導者。グラスルーツの育成エキスパートになるべく渡独し、ドイツサッカー協会公認A級ライセンス(UEFA-Aレベル)所得。SCフライブルクU-15で研修を積み、地域に密着したドイツのさまざまなサッカークラブで20年以上の育成・指導者キャリアを持つ。育成・指導者関連の記事を多数執筆するほか、ブンデスリーガをはじめ周辺諸国への現地取材を精力的に行っている。著書『ドイツの子どもは審判なしでサッカーをする』(ナツメ社)、『世界王者ドイツ年代別トレーニングの教科書』(カンゼン)。