清水エスパルスの“逆襲の予感” クラブ愛あふれる平岡監督が掲げた5つのマニフェスト

新加入組で一番の注目は4年ぶり復帰のMF白崎凌兵【写真:下舘浩久】
新加入組で一番の注目は4年ぶり復帰のMF白崎凌兵【写真:下舘浩久】

新加入組で一番の注目は4年ぶり復帰の白崎

 それぞれに新シーズンへの意気込みを語ったが、そのなかでも最も注目なのは白崎だろう。

 山梨学院高から他クラブとの競合を制して清水が獲得し、その後にJ2カターレ富山へ期限付き移籍を経て主力に成長。2018年にはチームの中心選手として、ここ10年では最高順位の8位となる原動力となった。

 しかし、さらなるレベルアップを望み、当時のヤン・ヨンソン監督が残留を熱望したが、白崎は鹿島アントラーズへ完全移籍。その後の清水は3年連続で指揮官が途中交代し、残留争いという苦しいシーズンが続いた。一方の白崎は、常勝軍団・鹿島で2年半を過ごし、昨夏にはサガン鳥栖へ期限付き移籍していたが、プロ入り11年目で29歳となる2022年に4年ぶりに清水へ復帰することが決まった。

 前回在籍時は“やんちゃ坊主”的な存在で先輩から可愛がられたが、当時を知るチームメイトは数少ない。2度目の加入となる白崎の戦場はボランチなのか、攻撃的なポジションなのかはまだ分からないが、「俺が引っ張る」とこの3年間の経験で得たものをすべて出し切り、生まれ変わろうとしている清水エスパルスの中心となって活躍してくれることだろう。

 また、J2ギラヴァンツ北九州への2年半の期限付き移籍から復帰したMF高橋大悟も注目の1人だ。昨シーズンは北九州で「10番」を背負ってチーム唯一の全42試合フル出場。チーム得点王となる10得点を挙げる活躍を見せたが、チームは3年振りにJ3へ降格してしまった。神村学園高から入団し、サッカーを楽しむ姿が印象的だったが、清水ではその輝きが薄れ、2年目となる2019年8月に当時J3北九州へ育成型期限付き移籍をすると、J2昇格に貢献。再びサッカーを楽しみ、輝きを取り戻した。

 その後もチームの中心として躍動していたが、J3に降格させてしまった責任を感じ、清水に復帰することを悩みに悩んだが、清水の強い復帰要請を受け、覚悟を決めて清水に戻って来た。外国籍選手を含め、攻撃的なポジションにはライバルがひしめき合うが、「昔の自分とは違い、自分にしかできないプレーがある」と北九州へ移籍する前の少し遠慮がちにしゃべるサッカー小僧の面影はなく自信に満ちあふれていた。「自分が清水で活躍することが北九州への恩返し」と北九州サポーターへの想いもあり、またその北九州まで応援に駆け付けてくれていた清水サポーターへの恩返しも新シーズンのプレーで見せるつもりだ。

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下舘浩久

しもだて・ひろひさ/1964年、静岡市(旧清水市)生まれ。地元一般企業に就職、総務人事部門で勤務後、ウエブサイト「Sの極み」(清水エスパルス応援メディア)創設者の大場健司氏の急逝に伴い、2010年にフリーランスに転身。サイトを引き継ぎ、クラブに密着して選手の生の声を届けている。

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