マジョルカ久保建英の自由制限、負担増大? チーム不振、苦肉のシフトチェンジで忍び寄る危機
【スペイン発コラム】上手くいっていないチーム構想、最前線とセンターDFは補強ポイント
1月も半ばに差し掛かっているということで、マジョルカの補強について考えていきたい。この手の話は先が読めず最終的にどうなるのか分からないのが常だが、これまでの流れ、現状分析、取り沙汰されている補強候補を見ていくことでこの先の見通しを予想する。キーワードは「バージョンアップ」「チームプラン見直し」「スタイル変更の恐れ」になる。
まず年明けを前にチームを去ったのはコートジボアール代表MFラゴ・ジュニオルだった。今季を含め、マジョルカに6シーズン在籍。前回1部の2019-20シーズンにはレアル・マドリードから決勝点を挙げ、MF久保建英がスペイン1部初ゴールを挙げたビジャレアル戦では日本代表アタッカーが獲得したPKを決めている。このシーズン、さらに2つのPKを決めており、攻撃の中心的な役割を務めていた。
これに続いたMFアレックス・フェバス(→マラガ)、DFジョアン・サストレ(→PAOK)も前回から久保のチームメイトだった。いずれも昨季または今季から一気に出場機会を失っており、主力としての活躍の場を求めての旅立ちとなった。チームがカテゴリーを上げればどうしても起こり得る血の入れ替えと言える。
問題はここから。これまでのチーム構想が必ずしも上手くいっていないのを証明する格好になっている。
昨夏の補強で成功しているのはDFパブロ・マフェオと韓国代表MFイ・ガンインだけで、そのほかは十分な結果を出していないというのが現状だ。特に深刻なのが最前線。アンヘル・ロドリゲス、スペインU-21代表のフェル・ニーニョ、米国代表マシュー・ホッペの新加入3選手を合計してここまでリーガ4点にとどまっている。
ベテランでサブ要員的補強の意味合いがあり、カップ戦で4点を挙げているFWアンヘルだけが及第点で、エース級の活躍を期待されたフェル・ニーニョは2節で決勝点を挙げたものの、その後目立った活躍がないだけに尻すぼみ感がある。怪我で長期離脱し出場数が少ないホッペと生え抜きFWアブドン・プラツにチームを離れる可能性があるとされる。
もう1つ欠かせない補強ポイントということで見解が一致しているのはセンターDF。主力のアントニオ・ライージョが足首の怪我から、この先1か月以上復帰が見込めないためだが、具体的な候補の名前は全く挙がっていない。最近になってパリ・サンジェルマンGKセルヒオ・リコの加入の目が語られているが、レギュラーGKのマノロ・レイナに安定感がなく、新加入のスロバキア代表GKドミニク・グレイフが上述のホッペ以上に怪我で戦線離脱しているためで急遽の穴埋め感が大きい。
島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。