女子アジアカップ3連覇を狙う新生なでしこジャパン 前体制とは“北風と太陽”、池田体制の“新コンセプト”とは?

池田太監督は親善試合の段階から対戦相手でプランを構築【写真:©JFA】
池田太監督は親善試合の段階から対戦相手でプランを構築【写真:©JFA】

3連覇がノルマは酷だが、世界一返り咲きに向けては重要な一歩

 もう1つ期待したいのが、対戦相手の強みを消すという部分だ。欧州遠征第一戦のアイスランド戦では、時間がそれほど多くないなかでも、スピードがあり、ロングスローもあるFWスベインディス・ジェーン・ヨンスドッティルの特長をチームで共有し、これに対するトレーニングも積んでいた。

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 試合前日のオンライン取材でDF熊谷紗希に、大きな特徴であるヨンスドッティルのロングスローへの準備を尋ねると、「右でも左でも投げてくると思うので、それに対して自分たちがどういう形で守るか。そして、相手のフリーマンを2人で挟んで配置できるようにトレーニングしてきた」との答えが返ってきた。

 結果だけを見れば、警戒していたヨンスドッティルが2得点に絡み、池田ジャパンは黒星スタートとなった。だが、準備をしてできなかったことと、まったく備えていなかったことには、大きな違いがあると言えるだろう。

 ともすれば、自分のチームの積み上げだけを考えたい親善試合の段階から、対戦相手ありきで考えるのだから、真剣勝負で注意を払わないわけがない。合宿初日のオンライン取材では、報道陣からグループリーグの対戦国の特長を訊かれて、言葉を濁していたが、それはしっかりとスカウティングができている裏返しにも感じられた。

 今回より準備期間があった前回、前々回でも、薄氷を踏みながら、アジアの頂点へ到達した。チーム立ち上げから半年足らずの初動段階で、対外試合は2戦を消化しただけ。しかも、3回予定していたキャンプのうちの1回は流れている。

 そうしたことを考えれば、大会3連覇をノルマとするのは酷だろう。しかし、世界一への返り咲きを見据えれば、ここで目標を低く設定することはできない。池田監督のチームが厳しい状況をクリアし、多くの経験値を得て、最後に笑顔で終えられる。そんな大会になることを期待したい。

(西森 彰 / Akira Nishimori)



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