なぜ賛否両論? ”青森山田スタイル”は国民的コンテンツの醍醐味 高校サッカーの「健全な姿」「清々しい姿」とは何か
世界の基準から見たら、青森山田もいたってノーマルだ
ただ、繰り返しになるがサッカーにはルールがある。そして多くの大会ではフェアプレーポイントというものが設けられており、警告の少なさなどの評価基準からフェアプレー賞を発表している。明らかに非紳士的な行為や相手を欺く行為、またレイトタックルなどの相手の怪我を誘発するようなラフプレーには警告、時には退場が下されるべきだ。
よく日本人にはマリーシアがないと言われるが、筆者の個人的な見解としてはそれを南米の代表チームのところまで身に付けるのは難しいし、必要もないと思っている。それよりも世界で勝つために、日本サッカーが伸ばすべき要素はまだまだたくさんあるからだ。
一方でそうしたマリーシアを含めて、世界の基準は知っておく必要がある。その基準から見たら、今回の青森山田もいたってノーマルだ。ただ、こうした声が出たり、議論が生じるのも選手権というコアなサッカーファンを超えた国民的なコンテンツの醍醐味なのかもしれない。
(河治良幸 / Yoshiyuki Kawaji)
河治良幸
かわじ・よしゆき/東京都出身。「エル・ゴラッソ」創刊に携わり、日本代表を担当。著書は「サッカーの見方が180度変わる データ進化論」(ソル・メディア)など。NHK「ミラクルボディー」の「スペイン代表 世界最強の“天才脳”」を監修。タグマのウェブマガジン「サッカーの羅針盤」を運営。国内外で取材を続けながら、プレー分析を軸にサッカーの潮流を見守る。