「打つところがない感じだった」 元日本代表GKが語るノイアーとブッフォンのPK戦での威圧感
日頃のビッグセーブが威圧感を生み出す
迷っている、というキーワードから想起されるのはイタリア2人目のFWシモーネ・ザザ(ユベントス)と、4人目のFWグラツィアーノ・ペッレ(サウサンプトン)だ。ゴールライン上でにらみを利かせる守護神が193センチ以上の大きさに見えたのか、ザザはシュート前の助走でガニ股でピョコピョコと走り出す“カエルダンス”、ペッレはペナルティースポットに立つと蹴る方向を指差してループを狙うと予告した。しかし二人のシュートは枠にすら入らず、ノイアーとの心理戦で完敗した。
言ってしまえばノイアーに“ビビる”恰好となってしまった二人だが、それはブンデスリーガやUEFAチャンピオンズリーグ、そしてドイツ代表でも数々のビッグセーブを積み重ねてきたからだと、土肥氏は指摘する。
「普段からノイアーがずっとファインセーブを連発している。このことはとても大きいです。相手からしても『普通に蹴ったら止められてしまう』というイメージを持ってしまっていたのかもしれませんね」
また土肥氏は、結果的にPK戦で敗北してしまったものの、ブッフォンの読みの鋭さも称賛している。
「ブッフォンは最後のシュートについてはアンラッキー、運がなかっただけだと思います。コースの読みに関してはかなり合っていましたからね。あのレベルに行くと、全員のキッカーのクセを知っているはずです」
確かに決着がついたドイツ9人目のDFヨナス・ヘクトル(ケルン)のシュートは左脇を抜けてしまったが、完全にコースを読んでいたように、ブッフォンは高い確率でシュートと同じコースへと飛んでいた。たとえキッカーが逆を突いたとしても“際どいコースに蹴らないといけない”という意識があったのか、ドイツ3人目のMFメスト・エジル(アーセナル)はシュートをポストに当てて失敗した。ここからもブッフォンの偉大さが手に取るように分かる。