川崎フロンターレ、「強さ」の源流はどこに? 小林悠が控え組へ「何なの」と憤り…聖地・麻生グラウンドに漂う“反骨精神”のムード

易々とポジションは渡さない——麻生グラウンドに漂う濃度の高いムード

 昨季の小林は、途中出場が多かった。それでも、6年連続の二桁得点をマークできたのは、日々の積み重ねとレギュラーを奪い返してやるという反骨精神に他ならない。

 ルーキーの橘田、ベテランの小林。ふたりの言葉をつなげて考えていくと、必然的にここ5年で6つのタイトルを獲得した川崎の強さにたどり着く。

 それは彼らのホーム・等々力陸上競技場と並び、もう1つの聖地・麻生グラウンドにあると——。

 サッカーでは控え組が発奮すればするほど、チームは強くなると言われている。その雰囲気が麻生グラウンドにはある。

 指揮官である鬼木達監督をはじめ、コーチングスタッフが作り出している空気ともいえるが、川崎にはそれを希薄させることなく、より濃度を増そうとしている選手たちがいる。

 昨季途中にはMF三笘薫(ロイヤル・ユニオン・サン=ジロワーズ)、MF田中碧(フォルトゥナ・デュッセルドルフ)が海を渡り、シーズン終了後にはMF旗手怜央がセルティックへと移籍した。

 俯瞰してみれば、2022シーズンを迎える川崎の戦力ダウンは著しいように見える。ただし、昨季も大卒ルーキーだった橘田が台頭したように、新しい芽が出てくる土壌が川崎にはある。それを作り出しているのは、小林であり、MF家長昭博、DF登里享平、DF谷口彰悟、MF大島僚太といったタイトルを獲るためにすべきことを知る面々なのだろう。

 易々とポジションは渡さない。もしくは必ずやポジションを奪い返す。来る新シーズンも麻生グラウンドにその空気を漂わせるであろう川崎は、やはり2022年のJ1においても主役の1人となる。
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(原田大輔 / Daisuke Harada)

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原田大輔

東京都出身。『ワールドサッカーグラフィック』の編集長を務めた後、2008年に独立。編集プロダクション「SCエディトリアル」を立ち上げ書籍・雑誌の編集・執筆を行っている。

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