マジョルカ監督と記者、「認めない」「いや話を続けさせて」――緊迫の“押し問答”バトルのワケ
スペイン国王杯3回戦の前日会見でマジョルカ監督と記者が緊迫のやり取り
日本代表MF久保建英が所属するスペイン1部マジョルカは、2021-22シーズンのリーグ前半戦を黒星で終えた。ここまで勝ち点20を積み上げているものの、降格圏格圏と勝ち点4差で楽観できない状況にある。狙いどおりに物事が進まないことを象徴する緊迫したシーンが会見で展開された。
監督「ノーノー。認めない」
記者「いやいや、話を続けさせて」
監督「君には君の考えがある。批判は受け入れる。それだけ」
記者「僕から見て試合プランは……」
監督「君の言っていることを受け入れる。私は私の考えを説明する。それだけだ」
記者「話をさせてくれなかったから説明するけど……」
監督「いーや、その必要はない。君の記事は読んだ」
普段は温厚で笑顔とともに距離感の近いスタンスで対応するマジョルカのルイス・ガルシア監督が記者会見で、セバスティア・アドロベール記者と声のトーンを上げ、相手の発言を遮るほどの押し問答を展開。まして考えようによっては“消化試合”にもなり得るスペイン国王杯3回戦エイバル戦の前日(1月4日)でのこと。明らかに場違いな空気感が漂っていた。
このやり取りには伏線がある。1月2日のリーグ第19節バルセロナ戦で0-1と敗れたあと、地元紙「ディアリオ・デ・マジョルカ」は試合を伝える記事で、消極的な先発メンバー構成で臨んだとして監督を批判。「マジョルカ、レベルの劣るバルセロナに対しルイス・ガルシアの臆病さでそのツケを払う」と分析。別記事で「マジョルカはベンチから負けを始めた」と畳みかけ、最大の敗因は指揮官だとした。
その主な根拠は中盤構成で、MFイドリス・ババとMFロドリゴ・バッタリアという守備的な2選手を同時起用したため。ウイルス感染や怪我、出場停止でマジョルカ以上に戦線離脱者が多く、大量の下部組織選手と事実上の戦力外メンバーで構成せざるを得なかったバルセロナに対し、積極的に攻撃を仕掛けなかったことをメディア側は指摘している。
島田 徹
1971年、山口市出身。地元紙記者を経て2001年渡西。04年からスペイン・マジョルカ在住。スポーツ紙通信員のほか、写真記者としてスペインリーグやスポーツ紙「マルカ」に写真提供、ウェブサイトの翻訳など、スペインサッカーに関わる仕事を行っている。