ドイツ代表主将がイタリアサポーター側でのPK戦を選んだ理由 過去のCLでの歓喜と苦い記憶

シュバイニー自身は5人目で痛恨の失敗

「過去にあったことを考えてみたんだ。ミュンヘンでは南スタンドで負けたけど、マドリードでは相手の前で勝ったんだ、とね」

 シュバインシュタイガーの脳裏を巡ったのは、2011-12シーズンのUEFAチャンピオンズリーグ(CL)の記憶だった。当時所属していたバイエルン・ミュンヘンは準決勝でレアル・マドリードと対戦し、2戦目のアウェーゲームでPK戦までもつれ込んだが、相手サポーターの前でのPK戦に勝利した。しかし、ホームスタジアムで決勝を戦う幸運に恵まれたチェルシー戦では、同じくPK戦にもつれ込み、自分たちのサポーターの前で敗戦の憂き目にあった。その記憶が、相手サポーターの前でPK戦を行うことを選ばせたという。

 そして、もう一つの要素はこのEUROの中にもあったという。決勝トーナメント1回戦のスイス対ポーランドもPK戦までもつれ込んだが、「スイスサポーターの前で行われたPK戦を勝利したのがポーランドだった」と、大会の流れを感じたと話した。

 果たして、イタリアは2人目のFWシモーネ・ザザ、4人目のFWグラツィアーノ・ペッレがキック前や助走の段階で駆け引きを意識し過ぎたのか失敗。5人目を務めたDFレオナルド・ボヌッチのキックもドイツのGKノイアーが完璧な反応で防いだ。5人目として登場したシュバインシュタイガーが決めれば、その瞬間にドイツの勝利が決まる――だが、主将はまさかのキックミス。本人にとっては苦い記憶となるPK戦になったかもしれないが、敵サポーター側のゴールを選んだことが功を奏したのか、9人目までもつれた壮絶なPK戦は最終的にドイツが制した。

 シュバインシュタイガーにとって、チェルシーに敗れたCL決勝が今でも大きな心残りになっていることがうかがい知れるが、その選択はドイツを勝利に導いたと言えるのかもしれない。このEUROの準決勝や決勝で再びPK戦を行うことになり、再びシュバインシュタイガーが使用するゴールを選択する権利を得たとしたら、今度はどのような選択をするだろうか。

【了】

フットボールゾーンウェブ編集部●文 text by Football ZONE web

ゲッティイメージズ●写真 photo by Getty Images

 

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