悪童、小皇帝に続き、フンメルスが犠牲者に… 勝利の代償に大一番で出場停止となった悲劇の主人公とは
”シルバーコレクター”に悔いの残る結末
02年日韓W杯でも名手が累積警告に泣いた。ドイツ代表MFミヒャエル・バラックは韓国との準決勝で通算2枚目のイエローカードを受けて次戦出場停止が決まったものの、運命の警告から5分後に決勝点を叩き込んでゲルマン魂を見せつけた。しかし続くブラジルとの決勝戦でドイツは0-1で敗戦。「小皇帝」の異名を取りながら、メジャータイトルから遠ざかり、“シルバーコレクター”とも呼ばれたバラックにとっては悔いの残る結末となった。
バラックと同様に大一番でピッチに立てなかったのは90年代のドイツを代表するMFアンドレアス・メラーだ。96年大会のEUROでは2列目のキーマンとしてプレーしたが、準決勝イングランド戦で警告を受けて出場停止が決まった。しかしメラーはPK戦までもつれ込んだ一戦で最後のキッカーとして登場し、見事成功させて決勝進出に貢献。メラーの想いを受け取ったチームは決勝でチェコを延長戦の末に下して優勝をつかみ取った。
同僚の無念を受け取って優勝を果たしたのは98年フランスW杯でもあった。開催国フランスのDFローラン・ブランは準決勝クロアチア戦でのCKの競り合いの中でマーカーのDFスラベン・ビリッチが大げさに倒れ、ブランに一発レッドが提示された。精神的支柱を失うことになったフランスだが、クロアチア戦で2-1と逆転勝ちした勢いに乗り、決勝のブラジル戦でもMFジネディーヌ・ジダンのヘディング弾など3-0で勝利し、初の世界王者に輝いた。
90年イタリアW杯では大会を彩った2人のスターが悔しさにまみれた。イングランド代表MFポール・ガスコインは準決勝の西ドイツとの延長戦で大会通算2枚目の警告を受けると、人目もはばからず号泣。エースFWギャリー・リネカーやボビー・ロブソン監督らから慰められるもユニフォームで顔をぬぐう姿は全世界のサッカーファンの同情を誘った。