高川学園の“持っている男”、味方に「どけ!」→劇的弾 トリックプレーだけではない秘策が的中
MF西澤和哉、投入後のセットプレーから劇的な決勝ゴールを叩き込む
第100回全国高校サッカー選手権は1月2日に首都圏4会場で3回戦が行われ、等々力陸上競技場の第2試合では高川学園(山口)が仙台育英(宮城)に1-0で勝利。セットプレーで話題のチームは、投入直後の「持っている男」が劇的ゴールを奪った。
今大会、高川学園は「トルメンタ(スペイン語で嵐)」と命名したユニークなトリックプレーを披露。セットプレーでクロスに合わせる選手たちが手をつないで旋回したところからスタートするプレーは海外でも話題になり注目を浴びている。そして、この仙台育英戦は2年前の第98回大会でも、1月2日の等々力陸上競技場の第2試合で激突し、その時は0-1で敗れた因縁のゲームだった。
しかし、高川学園は江本孝監督が「セットプレーは今日も色々と考えて準備していたが、なかなかセットプレーの機会も少なく、場所も良い位置ではなくてやりづらい部分もあった」と話したように、仙台育英に押し込まれる展開で攻撃に出るチャンスがなく、当然のようにコーナーキックやフリーキックを得ることもほとんどできなかった。
その状況に変化が生まれたのが後半のラスト5分ごろ。両チームとも疲労が来る時間帯で試合展開がオープンになり、立て続けにコーナーキックのチャンスが巡ってきた。その「トルメンタ」も含めて工夫も凝らすなか、江本監督がベンチで決断を下し、MF西澤和哉を投入するために呼び寄せた。
「(西澤は)決定力があると私もスタッフも感じていて、1年生の時からよく点を取っていた。前回の県予選決勝でもラストに点を取ってくれた。そのシーンが頭をよぎって、最後使ってみたらと思った。良いところはシュートをあまりふかさない。必ず抑える蹴り方ができるし、ひざ下の振りが速い。相手も疲労が溜まっているなかで、そういうちょっとした違いを出せる部分があったと思う」
後半40分に投入された西澤は直後のアディショナルタイム、コーナーキックのチャンスで中央で合わせる選手の1人としてペナルティーエリアへ。すると「最初はヘディングに飛び込もうと思ったけれどもボールが短かったので、セカンドボールの位置をとった。そうしたらふわりとしたボールが自分のところに来た」という状況に。味方に「どけ!」と大声を発したという西澤は、思い切って左足のダイレクトボレーを放つと、これがゴールに突き刺さった。