前橋育英8強の立役者 2年生FW高足善が殊勲2発で“たくましい虎”に変身「兄さんのためにも優勝したい」
山田監督が称賛「あの得点も偶然ではなく、あそこを狙っていた」
大竹の右クロスを笠柳が至近距離からシュート。GKが弾いたこぼれ球に素早く反応した高足が、ゴール中央やや左から値千金の一撃を蹴り込んだ。「サイドにこぼれてくると感じていたので外にいました」と、またしても勘働きが冴えたのだ。
苦しめば苦しむほど、喜びの表現は派手になる。ガッツポーズを作った高足の下へイレブンが駆け寄り、歓喜の輪ができた。
山田監督は途中出場でも、高足にはゴールの可能性を感じているそうだ。「スペースが空きそうな場所とか、こぼれ球がどこに落ちるとか、そういう予想ができる選手。あの得点も偶然ではなく、あそこを狙っていた」と持ち味を解説し、活躍を手放しで褒めた。
1つ上の兄・龍は、今大会1回戦でPK戦負けした流通経済大柏高(千葉)のMFで、「小さい頃からのライバルであり、尊敬できる選手。準々決勝は応援に来てくれます。(負けてしまった)兄さんのためにも優勝したい」と意欲を示す。
群馬県予選は初戦の5回戦でハットトリックし、準決勝でも1得点したが、決して満足していなかった。
「なかなか点が取れなくて(選手権に)臨んだけど、これで自信が付いた。次も得点してチームを救える選手になりたい」
小兵が“タイガー軍団”を引っ張るたくましい虎に変身した。
(河野 正 / Tadashi Kawano)
page1 page2
河野 正
1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。