ベスト8進出の青森山田、指揮官が明かす「なかなか経験しないサッカー」阪南大高を撃破できた理由とは?
阪南大高を3-1で下し、準々決勝へ進出
第100回全国高校サッカー選手権は、1月2日に首都圏4会場で3回戦の試合が行われ、青森山田(青森)は阪南大高(大阪)に3-1で勝利。黒田剛監督がテーマに掲げる「なんでもできるチーム」の強みが出た。
青森山田は今年度、インターハイと高円宮杯U-18プレミアリーグEASTを優勝。この選手権と合わせての3冠を狙う。1年時から出場のMF松木玖生がFC東京、MF宇野禅斗はFC町田ゼルビアに内定とタレントが揃っている。
そうしたなかで、阪南大高はFWに湘南ベルマーレ内定の鈴木章斗を擁する。そのうえで「阪南大高の攻撃力は予想していたけれども、やってみれば背後をどんどん突いてくる。前に速い、なかなかプレミアでは経験しないサッカー」(黒田監督)という相手の出方もあり、相手の攻撃回数が増えた。
それでも主将の松木は「相手の特徴は最初の15分で勝負を決めることだと分析していた。自分たちの前の試合は立ち上がりが悪かった。そこで差をつけるとチームの中で話していた」と、最初の時間帯を渡り合うとクロスから相手オウンゴールを誘い先制。その後も、相手ボールの時間が長い中でもDF丸山大和を中心として最終ラインは堅く守った。
すると後半にはセットプレーとカウンターで追加点。鈴木にこぼれ球を押し込まれる場面こそあったが、3-1で勝ち切った。青森山田もシンプルに縦に速いサッカーになる傾向があったが、松木は「相手のラインが高いので、その状況では背後へのパスを攻撃パターンとして選択していた。横に動かすパターンもある」と、あくまでも状況と相手を見ながら選択したものだと話す。
黒田監督は「テーマは何でもできる、何にでも対応できるサッカー。そういうものをやってくれた」と話す。かねてから、高校選手権やプレミアリーグといった違った舞台で、違ったタイプの相手に対して、「堅守速攻もポゼッションも、何でもできるように」と話してきた。そういった面が、試合巧者ぶりを発揮させたと言えそうだ。
かつて青森山田は「3回戦が鬼門」と呼ばれた時期もあったが、前回までの5大会で4回決勝進出と上位進出が続いている。それに加え、今大会では必ず中1日は休養日が設けられる日程になり「連戦がない分、対策を取れることと、ケガや疲労を回復させられるのは本当にありがたい」とも話した。オールラウンダーとして相手に応じた対策、対応も練りながら準備するチームだけに、3冠達成に向けてレギュレーションの変更も追い風になりそうだ。
(FOOTBALL ZONE編集部)