矢板中央に藤井陽登あり 3連続PKストップの守護神が生み出す“勝利の雰囲気”【高校サッカー秘話】
インターハイ準優勝の米子北相手にPK戦の末に勝利
絶対的な守護神がいるチームは強い。2年連続ベスト4の矢板中央には、1年次からゴールマウスを守り続けた男がいる。今年こそはベスト4の壁を打ち破るべく、昨年12月31日に臨んだ初戦の相手はインターハイ準優勝の強豪・米子北。いきなり訪れた難関の前に、GK藤井陽登(3年)がビッグセーブを連発した。
前半35分に先制弾を許したなか、後半17分に同点に追いつくと、同21分に右からの折り返しから中央でフリーの米子北MF山中奨(3年)に決定的なシュートを放たれるが、藤井は冷静にコースを見極めて両手でバーの上を越える鮮やかなトスティングを見せた。
逆転したあとの後半38分にもカウンターからFW牧野零央(3年)に完全に抜け出されるが、ペナルティーエリアギリギリの難しいエリアでも躊躇せず相手のコースを身体で完全に塞ぎ、相手のシュートを完璧にブロックした。
後半アディショナルタイムにJ2ファジアーノ岡山に加入内定のMF佐野航大(3年)の枠内ミドルシュートを横っ飛びでセーブするも、こぼれをFW山田楓元(2年)に決められ、土壇場で同点に追い付かれてしまうが、PK戦突入が決まると、チームに動揺は一切なかった。理由はFW藤野和哉(3年)が口にした「陽登はPKが得意なので、PKに行ったらウチの勝利だと思っていた」というコメントに凝縮されていた。
これで矢板中央は3大会連続初戦PK。過去2回は藤井の活躍によって勝利し、ベスト4まで勝ち上がって行った。場数がずば抜けている守護神がいる限り、負けるはずがない――。チームメイトが持つこの自信を彼は見事に具現化して見せた。
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