2戦10得点、前橋育英の際立つ攻撃力 元Jリーガー父のMF渡辺亮平が2戦連発、監督も高評価「凄い選手」

前橋育英イレブン(※写真は集合)【写真提供:オフィシャルサポート】
前橋育英イレブン(※写真は集合)【写真提供:オフィシャルサポート】

1回戦で草津東に4-0勝利、2回戦で三重に6-0と快勝 多彩な攻撃を見せる前橋育英

 第100回全国高校サッカー選手権大会2回戦が12月31日に首都圏8会場で行われ、ベスト16が決まった。NACK5スタジアム大宮での第1試合は、高円宮杯U-18プレミアリーグ東地区に来季昇格する前橋育英(群馬)が三重(三重)に6-0で大勝し、1月2日の3回戦で鹿島学園高(茨城)と対戦することになった。

 1回戦を4得点で快勝し、4大会ぶり2度目の優勝を目指す前橋育英は、立ち上がりから長短のパス、巧みなドリブル、効果的なチェンジサイドのボールを駆使して三重陣営に襲い掛かった。

 高い技術をベースにした組織力で多彩な攻撃を展開する“タイガー軍団”。2年生が3人先発したなか、右の2列目を担当するMF小池直矢が序盤から積極的にゴールを狙い、得点の匂いを感じさせていた。

 前半7分、MF笠柳翼(3年)の左クロスに合わせ、強烈なヘディングシュートを放ったが、わずかに右へ外れた。チームで最初の決定打だった。同17分にも笠柳の斜め左からのパスを預かると、鋭い切り返しでマーカーをかわして左足を振り抜いた。枠を捕らえ切れなかったものの、“その時”がやって来るのは時間の問題と思われた。

 前半25分だった。右サイドバック大竹駿(3年)の右クロスを逆サイドからヘッドで先制点を突き刺した。2-0の後半12分には、笠柳の左からの最終パスをゴール中央で受け、正確なトラップでコントロールすると、強烈な一撃を沈めた。

「前半にゴールを奪えたことで、どんどん流れが良くなりました。1回戦は取れなかったので、今日は絶対に結果を残したかった。上手く前を向いて攻撃の起点にもなれたと思います。2得点できたけど、もっと取れました」
 
 4-0で大勝した草津東(滋賀)との1回戦は、ハットトリックしたFW守屋練太郎(3年)の陰に隠れたばかりか、「ボールを奪われることもあったし、調子は良くなかった。悔しかったと思うので、今日は気合が入っていましたね」と主将のDF桑子流空(3年)はこう評する。
 
 無得点に終わったほか、得意のドリブルで好機を築けなかった1回戦は、距離感が悪かったことが要因の1つと本人は分析する。

 今年、U-16日本代表候補にも呼ばれた小池は、「ゴール前に入るタイミングやボールを受ける位置などをビデオで見直し、そこを調整して臨んだ」と解説した。2年生の快足アタッカーの先制点で前橋育英は試合の流れを完全に掌握する。

 ベテランの山田耕介監督は、「後半に3点目が入って全員がリラックスできた。これでワイドを使った(攻撃をした)り、いいコンビネーションが出てきた」と小池が決めたチーム3点目の価値を評価した。

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河野 正

1960年生まれ、埼玉県出身。埼玉新聞運動部で日本リーグの三菱時代から浦和レッズを担当。2007年にフリーランスとなり、主に埼玉県内のサッカーを中心に取材。主な著書に『浦和レッズ赤き激闘の記憶』(河出書房新社)『山田暢久火の玉ボーイ』(ベースボール・マガジン社)『浦和レッズ不滅の名語録』(朝日新聞出版)などがある。

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