優勝候補・青森山田、前半沈黙から後半6発と爆発のワケ 黒田監督が称賛「選手たちが冷静だった」
後半にゴールラッシュ、大舞台の初戦で見えた好循環のサイクル
第100回全国高校サッカー選手権は12月31日に首都圏8会場で2回戦の試合が行われ、駒沢陸上競技場では優勝候補の青森山田(青森)が大社(島根)に6-0で大勝。後半のゴールラッシュを導いたものは、「冷静さ」がキーワードになった。
青森山田は今年度、インターハイと高円宮杯U-18プレミアリーグEASTを優勝。この選手権と合わせての3冠を狙う。1年時から出場のMF松木玖生がFC東京、MF宇野禅斗は町田ゼルビアに内定とタレントが揃っている。
しかし、黒田剛監督が「前半、毎年やっているんですけどかなり硬い入りになった。お互いに集中力が切れないなか、大きなチャンスも作れず」と振り返ったように、簡単な展開にはならなかった。全体的には青森山田がボールを支配したが、大社のカウンターが決まりそうになる場面もあり、前半は0-0のまま終わった。
それでも、青森山田に焦りはなかった。松木は「前半に関しては、全員が全員、得点を奪わなければという意識が空回りした。それでカウンターを受ける場面もあった。去年と同じく、1試合目の前半はすごく難しい試合になるかなと思っていた」と話し、「初めての選手権の選手もいる。絶対に緊張すると思うけど、経験している僕らからすればいかに彼らを緊張させずにプレーさせるか」と、余裕すら感じさせた。そうした意味でも、選手権への出場が3回目という経験が大きかった。
そうしたなかで後半3分に先制点を挙げると、同13分、同28分と着実に追加点を挙げ、最後はアディショナルタイムに近づき3連続ゴール。黒田監督は「選手たちが冷静だった。経験値なのか、後半から自分たちでボールを大事にしてサイド攻撃を徹底した。カウンターやファウル、PKから失点しないようにと、リスクを避けながら1点、2点と刻んでいくことを実行してくれた」と、ピッチ内で冷静に戦った選手たちを称えた。
3冠を狙う状況に、周囲のチームは「いかにして青森山田を倒すか」と研究してやってくる。それでも指揮官は「あまり評判にぶれることなく冷静にやれていると思う」と話し、「今日は前半の入りがあれで良かったのかを含めて反省したい。難しい初戦を勝利できたこと、反省材料を持ちながら3回戦に進めるのが成果だと思う」と冷静に話した。
年が明けて1月2日の3回戦では、奈良育英(奈良)と阪南大高(大阪)の勝者と対戦する。直近の5大会のうち4回も決勝に進出し、1年生や2年生で出場した選手が次の学年になって経験を生かすサイクルができている。その強みが、大舞台の初戦に発揮されたと言えそうだ。
(FOOTBALL ZONE編集部)