近大和歌山が流経大柏撃破の大金星 PK戦前に“整えた”「本気ジャンケン」の狙い

メンタルトレーナーの大嶋啓介さんに講義を受けた「本気のジャンケン」

 後半も、攻められる時間が続いた近大和歌山だったが、後半24分にカウンターからFW谷口金太郎が値千金の同点ゴールを決める。「攻撃から守備、守備から攻撃への切り替えを練習から意識していました。それで守備から攻撃に変わった瞬間に、良い攻撃ができたんだと思います」と、荒木はチームの取り組みが実を結んだと語った。

 PK戦を前に、追いついた近大和歌山の選手たちは、ベンチ前で大騒ぎしていた。PK戦へ向けて、気持ちを整えていたのだという。

「以前、メンタルトレーナーの大嶋啓介さんに、講義を受けたんです。その中に『本気のジャンケン』というものがあって、本気でジャンケンをして、勝ち負け関係なく、全員で声を出して喜んで、気持ちを高めるというものでした。県予選から、ずっとハーフタイムでやっていて、今日の試合もハーフタイムでやったのですが、PK戦の前にも藪監督に『お前ら、本気のジャンケンをしろ』と言われて、そこで自分たちが『いつも通りやれば大丈夫』と平常心になることができました」

 流経大柏の選手たちも、1人1人が長い時間を取り、PKを蹴っていった。その様子からは、PK戦へ綿密な準備をしていたことを感じさせた。だが、80分間の試合中に見せていたほどの優位性を、PK戦では示すことはできなかった。

 敗れた流経大柏の榎本雅大監督は、試合後のロッカールームで選手たちに語った言葉を明かしつつ、2回戦は進めなかった要因を口にした。

「選手たちは、素晴らしいサッカーを展開してくれたと思います。なので、選手たちには『君たちは素晴らしかった』と、1つ声を掛けました。ただ、相手のほうがもっと素晴らしかった、それだけだと思います」

(河合 拓 / Taku Kawai)



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