近大和歌山が流経大柏撃破の大金星 PK戦前に“整えた”「本気ジャンケン」の狙い
開始8分の失点でプランが崩れたが、ハーフタイムで気落ちは見られず
「今日のゲームは、うちにとっては良くできたゲームだったと思います」
試合後のオンラインインタビューで、感想を問われた近大和歌山(和歌山)の藪真啓監督は、充実の表情で語った。それもそのはず。今大会の優勝候補の一角に挙げられていた流通経済大柏(千葉)に80分間で19本のシュートを浴びながらも最少失点に抑え、後半唯一のシュートをゴールに結び付けて、PK戦で1回戦突破を決めたのだ。
県予選が終わり、流経大との対戦が決まってから、藪監督は「(映像を)見まくっていた」一方で、選手たちには、ほとんど流経大柏の映像を見せなかったという。「ケアするところを絞って、迷わず戦わせるため」の準備を終えた監督は、「理想は1-0、悪くてもPK勝ち」と、1回戦の目標を立てて選手を送り出した。
まずは守備という近大和歌山のプランは、開始早々に崩れる。前半8分、左サイドを崩され、最後はMF小林恭太に先制点を許してしまった。「試合前は、全員が勝てる気しかしていなかった」と明かしたキャプテンのDF荒木宏心だが、「藪監督に、『最低でも失点は1で抑えろ』と言われていたのですが、立ち上がりに失点で気持ち的には落ち込んだ」と、早々の失点にダメージがあったことを認める。「それでも、その後に攻められても守りきれたことが、今日の勝てた要因なのかなと思います」と振り返った。
ビハインドになっても、集中がきれなかった要因について、荒木は「藪監督がベンチから『まだいける!』と声を出してくれていたのが大きかった」と話す。その後、流経大柏にボールを保持されながらも、0-1のまま前半を終えられたことで、近大和歌山の選手たちには、耐えられるという自信がついていった。
「ハーフタイムでは、落ち込んでいる気持ちは、ほとんどありませんでした。みんな『まだいける』『1点取りに行って、勝つぞ』という気持ちが強くなっていたと思います」(荒木)